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ベポはローによってカンフーを覚えていった。
「わっ、二人ともドロドロ!お風呂沸かしてあるから入っておいで」
リーシャが急かすと素直な言葉と共に二人はお風呂場へ向かった。
なんだか母親になった気分だ。
そこでふと思い出す。自分の母の事を―。
「リーシャ?」
「え!な、何?どうしたの?」
「いや、シャンプーが切れそうになってたからまた買ってきてくれ」
「わ、わかった……!」
しっかりしてるな、十歳なのに。
動揺しているのはごまかせたようでローくんはハテナマークを浮かべながらベポが待っているお風呂場へ戻っていった。
リーシャはそこであることを思いついた。
「ローくんどんな反応するかな……」
***
「ベポ、体洗ってやる。こっち来い」
「アイ!」
リーシャが拾ってきた白クマも今ではすっかり家に溶け込んで、家族の一員となっている。
リーシャが家に現れてから、どんどんローの周りが賑やかになっているように思う。
俺の足の間に座らせ真っ白な毛並みをわしゃわしゃと洗う。
「ローくん」
「?―なんだ?」
「入るよ」
「!?―お、お前!」
言葉と行動が一緒にリーシャが入ってきた。
裸で―。
驚きに声を喪失していると、リーシャは軽く笑いながら風呂に浸かる。固まったままの姿のローは激しく困惑する。
「驚いた?でも別にまだ私達は恥ずかしがるような歳じゃないからいいでしょ?」
「別にって―」
ローは反論しようとしだが、ふとリーシャの言葉に違和感を覚えた。
「どうしたの?あ、そっか……私か体洗ってあげるね!」
「なっ」
しかし、爆弾発言で違和感は吹っ飛んだ。
洗ってほしいなど一言も言ってないのに俺の所へ来るリーシャ。
「お、おい!来るな!」
「いいからいいから」
意味がわからない。何がいいからいいからだ。
「じゃあ洗いっこ大会しようよ」
「あ!?」
突然自分も洗うこととなってしまった、自称洗っこ大会が始まった。
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