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16改


この世界に来て、一年が過ぎた。
相変わらず、ローは本を読み漁っていて。
ジェイドは下町にある病院で患者を診ている。
肝心のリーシャは――。

「ローくーん!」

たった今、森から帰ってきたリーシャは息を切らせながら名を呼ぶ。

「どうした」

体に雪が残っているリーシャを不思議そうに見たローは、ある一点に目を止める。

「なんだ、それ?」

(うん、まぁローくんが怪訝そうな顔をするのはわかるけど)
とリーシャは苦笑いする。

「白クマ」

「そんなことは見ればわかる」

(ですよねー)

今のリーシャテンションはおかしかったが、そんなことを思っている場合ではないのだ。

「えっと、その……」

リーシャが言いにくそうに口ごもるとローはため息をついた。

「……こっちへ連れてこい」

「え、いいの?」

「拾ってきたものは仕方がないだろ」

「っ――ありがとうローくん!」

ローに感謝をしながら、リーシャの腕の中でぷるぷると震えている白クマと共に家の中へ上がり込んだ。



***



「はぁ〜、火は人類の遺産だね〜」



暖炉の前で温まっているリーシャは、緩み切った顔で手を掲げている。



「ベポ」

「え?今ローくん何か言った?」

「言ってねェ。――このクマか?」

「まさか……白クマが喋るわけないよ」

「ベポ」

「ほら見ろ。喋ったじゃねェか」

「本当だ。喋っ……たぁー!?」

「興味深いな」

「え!?え?!」

驚きに声を上げるリーシャと冷静に分析するロー。

(そういえば、チョッパーも話せたよね……)

某漫画のキャラクターはなんでもありだと思い出す。

(悪魔の実の能力者もいるし……)

「このクマどうしたい?」

ローの言葉にリーシャはローの顔を見る。

「できるなら、家に置いてあげたい」

「……わかった」

じっとローはリーシャを見据えると、一つため息をついて白クマを見た。

「ほ、本当?」

「あぁ。でもまずは親父の許可が必要だ」

「うん!わかってる!ありがとうローくん!大好き!」

「っ!」

嬉しさの余り、リーシャはローに抱き着いた。
ローはいきなりのことに顔を真っ赤にする。

「な、なんで抱き着くんだっ!」

「あ、ごめんごめん。」

「ふんっ」



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