15改
ローが10歳の誕生日に、ケーキの蝋燭をローと共に消した夜。
リーシャはローが外にいることをジェイドに聞くと、誕生日のプレゼントを渡しに行こうと外へ向かった。
「あ、いた……」
外へ出ると、ひんやりとした空気が肌を刺す。
そんな空気が漂う中、ローは空を見上げていた。
ローの表情は何となくだが、せつないように感じた。
「ローくん」
リーシャが声を掛けるとローは白い息を吐きながら振り向く。
「どうした?」
「んっとね……、はい!」
リーシャはローに持っていた箱を渡す。
「これは?」
先程、星空を見上げていた寂しそうな表情の面影はどこへ行ったのか、今のローはキョトンと子供らしい仕草をする。
「誕生日プレゼントだよ」
リーシャがそう言うと、ローはゆっくりとその箱を受け取った。
――カサカサ
「ふふっ……、開けていいよ」
箱を上下に揺らして中身を知ろうとするローに笑いながら催促する。
するとローはリーシャとプレゼントの箱を交互に見るとシュルリとリボンを解く。
「あ、ローくん。プレゼントっていうのはね、豪快に開けるものなんだよ」
丁寧に開けようとするローにリーシャはプレゼントを破る仕草をする。
「……わかった」
ローは躊躇いながらも、ビリビリと音を立てながら破った。
すると箱が姿を現し、ローは蓋を開けて中身を覗き込む。
「これは……!」
「私が一目惚れした物だけど、ローくんに似合うと思って」
ローはリーシャの言葉を聞きながら、ふかふかとした帽子を手に持つ。
「……モコモコだな」
「うん。モコモコだね」
モコモコと言いって少し嬉しそうに笑うローにリーシャも嬉しくなる。
(可愛いなぁ……)
リーシャが心の片隅でそんなことを思っているなどローには知るよしもない。
この帽子が将来ローと一緒に手配書に載ることなど誰が想像できただろうか。
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