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14


ローはその日、父親に頼まれた物を買いに行き、家に帰った。

――パンッパンッ!

「……は」

ローは突然の光景に唖然とするしかなかった。

「誕生日おめでとう、ローくん……!」

「驚いたかい?」

リーシャとジェイドがクラッカーを持ちながらローを見ていた。
リーシャは楽しそうに笑いながらローの手を引っ張って、ジェイドに限っては、悪戯が成功した時みたいな顔をしながら席に着いていた。
ローはリーシャに席に着かされると、テーブルにHAPPY BIRTHDAY、と書かれているテンプレートのチョコが上に乗ったケーキが置かれている席に座らされる。

(そういうことか……)

ローはそれを見て、初めて今日が自分の誕生日だった事を思い出す。

「ローくん。蝋燭消して!」

リーシャがそう言い、ローはそのまま蝋燭を消そうとするとジェイドの静止の言葉が聞こえた。
ローとリーシャは父に目を向けるとジェイドはリーシャに顔を向ける。

「リーシャちゃんも一緒に蝋燭を消してみないかい?」

ジェイドの言葉にリーシャはえ、と驚いた顔をし、ローも意味がわからないと父親に説明を求める。

「リーシャちゃんの誕生日がわからないままじゃ困るだろ?だからローと同じ十月六日にしないかい?」

父はローを見ながらそう言った。

「俺は別に構わない」

ローはリーシャの様子を見ながら言った。

「え、っと……」

彼女は思った通り、困惑の表情を浮かべてローと父親を交互に見ていた。
すると父はニコッと笑いながら「じゃあ決まりだ」なんて、本人の意見も聞かずに決めた。

(いつも思うが……)

ローは隣でえっ!と声を上げているリーシャを見ながらため息をつく。
父は普段、おっとりというか、大人しいが、時々子供みたいにおどける。
わざとなのか、天然なのか、よくわからない。
実際、ローも父の言葉に引っ掻き回されることがある。

「じゃ、じゃあ私も消させてもらいます……」

父の言葉に折れたのだろうリーシャが苦笑いしていた。
ローは密かに笑う。

(面白くなりそうだ……)

彼女がロー達の中に入ってきたことに、ローは知らない内に口角を上げていた。

彼女と彼らが一歩近づいた日。



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