13
「ジェイドさん、洗濯終わりました」
「あぁ…いつもすまないね」
ジェイドに伝えるとソファに座るように促された。
「いえ、お世話になっているから当然の事です」
「リーシャちゃんはもう家族なんだから気を使わなくていいんだよ」
「あ……、すいません……」
(またやっちゃったな……)
自分の失態に後悔する。
しかし、ジェイドはそんなリーシャに微笑みながら頭を撫でてくれた。
「まぁ、これから慣れていけばいいさ」
「……はい」
ジェイドの言葉に気恥ずかしくなる。
そんな時、ジェイドは思い出したように話を切り出した。
「そういえばもうすぐローの誕生日だったな……」
「え、そうなんですか?」
リーシャがこの世界に来てもう半年になる。
ローの誕生日がそんな時期にあると知った事で、もうそんなに時間が経っていたのか、と密かに感じた。
「今年はリーシャちゃんもいるから華やかになりそうだ」
「そうですね」
そこまで言うと、ある事が浮かんだ。
(誕生日プレゼント、どうしよう……)
今の自分は無一文だ。
ジェイドに貰うのも――気が引ける。
リーシャがうーん、と唸っていると、隣にいたジェイドがくすくすと笑った。
「プレゼントを買うくらいのお金なら渡すよ」
「え!……そんな、いいですからっ……!」
リーシャはジェイドの言葉にぶんぶんと頭を振る。
「ちゃんと家の手伝いをしてくれているし、これは小遣いだよ」
ジェイドはそう言いながらポケットに手を入れた後、リーシャの手を引いて中にあったベリー札を握らせる。
「え、あっ……」
(どうしよう……)
どうすればいいのかわからなくてジェイドを見る。
「リーシャちゃん。私達は、なんだい?」
「……!――か、家族……です……」
リーシャがそう言うとジェイドは微笑みながら頭を撫でてくれた。
「だから、家族に頼る事は当然なんだからね……?」
(……!)
ジェイドの言葉に胸がじん、と熱くなった。
「ありがとう、ござい、ます……!」
リーシャはベリー札を握り締めながらジェイドに笑い掛けた。
(その気持ちが尽きる事はないのだろう)
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