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12


リーシャとローが夜、星空を一緒に眺めた日から何故かローがいつにも増してリーシャから離れなくなってしまった。
そんな感じのあるお昼時の事。

「リーシャ」

「どうしたの…?」

リーシャはローに手招きをされ、近寄る。

「これ」

「……?」

リーシャはローの手にある物を見る。

「これは……!」

そこには『うそつきノーランド』と書かれた絵本があった。

「もしかして、読んでほしいの……?」

そう尋ねるとローは呆れた表情をしながら違う、と言い放った。

「リーシャはノースブルーの事とか知らねぇと思ったから、持ってきたんだ」

ローはフンと鼻を鳴らしながら言った。

「ふふ……、ありがとね」

リーシャはローの態度に苦笑いしながら絵本を受け取った。
本当はこの話を知っているのだが、記憶喪失だと言っている手前、そんな事を言うわけにもいかなかった為、リーシャは仕方ないと思いながら絵本を読む為にソファへと腰を下ろす。
ローも同じように隣に座った。



***



「読み終わったよ、ローくん」

リーシャは絵本をパタリと閉じながらローに向き直る。

「で……?」

おそらくローは感想を求めているのだろう。

「うーん……まぁまぁ面白かったよ」

リーシャの言葉にローはそうか、と返事をしただけで他は何も言わなかった。

「ローくんは空島、をさ……その、信じてる……?」

リーシャはローがこの絵本の事をどう思っているのか気になって、少しだけ緊張しながら聞いてみる。
リーシャがそう言うとローはきっぱりと、こう言った。

「わからねェ」

「あはは……だよね」

当たり前の答えにリーシャは苦笑いするしかなかった。

「……でも」

「……?」

ローは言葉を切ると、リーシャの目を真っ直ぐ見て――。

「お前が信じているなら俺も信じる」

「……!!」

リーシャはローの言葉に驚き、つい彼の顔をじっと見てしまった。

「……なんだ」

「え?ふふっ……なんでもないよ」

ローがそう言ったのは多分、リーシャの頬が緩んだ顔を見たからだろう。

彼の言葉に嬉しく感じる私がいた。



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