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ローは彼女といるたび、少しずつ好きになっていった。
でも今のローにとっては“好き”という感情の中に愛なんてまだ知らないから、リーシャに対して抱いているのは、お気に入りとか、そういうものだと思う。
リーシャは最近、ローがベッドの中に入ってきても暖かく抱きしめてくれるようになった。
思い切ってリーシャに海賊王になりたいという夢を打ち明けた時もリーシャは優しく微笑んで、ローの夢を笑わずにいてくれた。
ローは嬉しくて、リーシャが寝ようと言った時もなかなか眠れなかった。
しばらくするとリーシャがゆっくりとローを起こさないようにベッドから起き上がる。
なんとなく起きている事を知られたくなくて、そう思っていると下にの方で外の玄関の扉を開いた音がした。



(どこへ行くんだ?)



それを聞いて父親が目を覚まさないようにゆっくりと起き上がり、下へ向かう。
リーシャが寒がるだろうと思い、引っ掛けてあったカーディガンを手に取ると静かに扉を開ける。
扉を開けた先にはこちらに気付いていないのか、空を見上げるリーシャがいた。
リーシャの後ろ姿を見ていると、徐々に自分の中の感情が不安でいっぱいになった。
リーシャがどこかに行ってしまうと、違う世界へ行ってしまうんじゃないかって思った。
違う世界、なんて自分でも変だと思うけれど。



(でも――)



グランドラインという場所は不思議な事が起こると聞いた事があるから、ないとは絶対言い切れない。
でも、今はとにかくリーシャがローの前からいなくなりそうな気がした。



(らしくないな……)



そう思いながらリーシャに近づき、カーディガンを掛けた。
リーシャは驚いてローを見た後、再び前を向いて星空を見上げる。
リーシャがこの世界に二人だけしかないみたい、と言った時、リーシャが本当に消えそうに感じた。
だから、リーシャが消えないように抱きしめた。
リーシャを抱きしめながら、自分の中の感情を言葉にする。
リーシャは、どこにも行かないと言った。
けれど、気づいていないが微かに唇が震えていた。
ローはすぐその言葉に嘘だと感じた。



(ばればれなんだよ……)




ローはリーシャの気持ちの揺れに気付くと、どこにも行かないでほしいという言葉の代わりに強く、縋るように抱きしめた。



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