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- ナノ -
 
10


リーシャはしばらく星空を眺めていた。

「寒い……」

ノースブルーは他の海より断然に気候が冬のせいか、リーシャの世界よりも寒く感じた。
かじかむ手に息を吐く。

パサッ

「……!」

突然体に何かが掛かったので、リーシャはなんだろうと思いながら後ろを向くとそこには、

「ロー、くん……?」

そこには、ベッドを抜ける前に寝ていると思っていたローがいた。

「どーして……」

「風邪引くぞ」

リーシャが呟くと、ローはすかさず言った。

「ローくんも風邪引くよ?」

「俺は慣れてる……」

リーシャはそっか、と呟いきながら前を向いた。

「星、綺麗だね……」

「そうだな……」

リーシャが上を向きながら言うとローも相槌をうつ。

「なんだか、この世界に私達しかいないみたいだね……」

「………」

「?……どーし」

ローの返事がない事に不思議に思ったリーシャは後ろを向こうとしたら、ローに後ろから抱きしめられた。

「……!―どうしたの、ローくん……?」


困惑しながらローに聞く。

「リーシャ、が……」

「うん……」

「リーシャが、どこか、に」

「うん……」

ローの声は今にも消えそうなぐらい小さかった。

「どこか……遠い所に行きそうな気がした、から……」

「……!」

ローの言葉で、彼の不安を表しているのが手に取るようにわかった。

「ローくん―」

リーシャは彼の名を呼びながら、ローと向かい合わせになるように体の向きを変える。

「私の目を、見て」

リーシャがそう言うと、ローはゆっくりと前を向く。

「私は、どこにも行かないよ」

フワリと笑い掛けながら言った。

「本当にか……?」

ローは不安そうな目でリーシャを見詰めてきた。

「うん。本当、だよ」

そう言うと、ローはまたリーシャの体を抱きしめる。
リーシャもローを包み込むように抱きしめた。



今だけは、嘘を許してください。



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