07
姫抱きにしたローは、2階にあるベッドルームへ連れていってくれた。
「ありがとう、ローくん」
「ん」
―モゾッ
「えっ!なんでローくんまで入ってくるの!?」
お礼を言った後、ちゃっかり横になっている布団の中に入ってきた。
「一人じゃ寂しいかと思ってな」
「……」
リーシャはニヤリと笑いながら言う彼に、もしかして寂しいのはむしろ本人なんじゃないかと思った。
「仕方ないから一緒に寝てあげる」
言葉と同時に彼を両腕に包み込む。
そして、上から見ると驚いた顔をしていた。
「どうしたの?自分から布団の中に入ってきたでしょ?」
仕返しと言わんばかりに笑う。
「……っ!」
すると、ローは顔を真っ赤にしてリーシャの胸に顔を埋めるように押し付けてきた。
「ふふ」
そんな相手が愛おしくなり、背中をポンポンと撫でる。
そしてしばらくそれを繰り返しているとローから規則正しい寝息が聞こえてきた。
「寝ちゃったか……」
ローのまだ幼い寝顔を見ながら呟く。
そして、リーシャはふと、この世界について考える。
「モンキー・D・ルフィ」
この世界の主人公。
やはりリーシャはトリップしてきたのだろうか。
知識として知っているのは、ルフィ達がスリラーバークでゲッコーモリアに勝ったところまでだった。
今ルフィは何歳なのだろうか?
それ以前に、リーシャは物語の重要人物達と会ってもいいのだろうか?
改めて、異世界に来たという現実に不安が込み上げてきた。
不安を拭い去る為に、目の前にいるローの体をギュッと抱きしめた。
私はその時ローくんが起きていたことになんて、気づかなかった。
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