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- ナノ -
 
03


やはり小船でも貸してもらおうかと考え始めたのは夕刻になってからだった。
面会や部屋に来るのはキラーだけにしてもらえたが、果してキッドはそれを守るような男だろうか。
絶対とは言いきれないあの性格を思い出せば自然と身体が立ち上がった。
タイミング良くキラーが部屋を訪ねてきてくれたので早速ボート辺りを貸してくれないかと頼むと返事を渋られた。
時間が時間なので夜の航海は危険だと注意されたがキッドと出会う危険度を思えば考えている暇などない。
キラーは取り敢えずまだキッドは眠ったままだと言うので船の中で夕食でもどうだと進めてきた。
こんな時にと思ったがお腹が空腹で何か胃に入れたかったので重く頷いた。
キラーが案内して食堂までの道を先導して歩く。
着いたらしく扉を先に開けて入る彼に続いて入ろうとした時、やけに部屋が騒がしい事に気付いた。



「頭!酒どうぞ!」



既に半分入りかけた身体は声に反応して中途半端に足が止まる。
顔を見られぬように海兵のキャップを被っていたので誰が誰と話しているのかは把握出来ない。
キラーは少し上がった声音でキッド、と呼んだ。
リーシャは背中が緊張に強張るのを感じキャップを更に深く下げた。
何故、今なのだろう。



「起きたのか」

「ああ………そいつは?」



久々に聞く声にキャップを握り締める。
キッドの問いにキラーが声を出せずにいれば事情を何一つ知らない船員がお頭を助けた女だと口にした。
余計な真似をと唇を噛む。
キッドは不審そうに相槌を打つと椅子から立ち上がる音が部屋に響いた。



「キッド」

「何だキラー」

「顔を見られたくないと言っているから尊重しろ」



部屋に嫌な空気が流れ暫しキッドは立ってこちらを見ているような気がした。



「なんだァ?俺に顔を見られたら殺されるとでも思ってんのか」

「………………っ」



事実、可能性は高い。
リーシャは内心緊張しながらもどうやって部屋を出ようかと考える。
キラーに戻るとだけ小さな声で伝え踵を返した。



「待ちやがれ」



グッと海兵帽子が頭から離れるのを感じパサリと落ちる音がした。
反射的に落ちた帽子を見てしまい顔を向ける。


「あ゙?……お前……!」

「あっ」



前を向けば唖然とする船長の顔が見えた。
対面するのは数年ぶり。
顔を見られた以上、長いは出来なかった。


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