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息を付くローにふっ、と笑みが漏れた。
食堂に行くと覚えがある香りが漂う。

「もしかして、今日……」

「ピザだろうな」

「ピザかぁ……懐かしい」

「お前も昔からピザ作ってたな」

「うん」

香ばしいパンの香りとソースが空腹を刺激する。
海の上なので主に海鮮を使うメニューが多い。
野菜は上陸した時や備蓄があるときに食べる。
今は上陸しているので両方を使用したピザなのだろうと想像できた。
食堂に向かうとセンナは既に席に着いていたので駆け寄る。

「センナさん、こんばんは」

「こんばんはリーシャさん」


お互い挨拶するとリーシャはローの隣に座る。

「リーシャ、今日はピザなんだぞ!」

「うん。ベポも大好きだったね」

「大好きだ。いい香りだしな」

ウキウキと目を輝かせるベポに笑いかける。
他の船員達も待ち切れない様子で盛りがっていた。
リーシャはコックの手伝いをしようと立ち上がる。

「手伝うのか」

「だって、コックさんも忙しいし大変だろうから」

「お前は働かなくていいんだ」

「分かってるよ。けど、落ち着かない……」

引き止めてくるローにリーシャも譲らない。
これに妥協してしまえば、これからも何も出来なくなってしまう。
そう思ったから理由を付けた。
ローは渋々といった風に溜息をつくので承諾したのだと解釈して厨房へ向かう。
コックに用を尋ねると皿を運んで欲しいと言われたので重ねられた食器を持って、来た道を戻る。
扉を開けると不機嫌な様子のローと目が合う。
ご立腹な表情でこちらをジッと見る姿に苦笑。
一枚一枚テーブルに皿を並べていくと船員達がお礼を述べてくれた。
嬉しくなって笑い返すのが毎日の光景になっていて、随分慣れたものだと感じた。
慣れたというのは、船で航海をして彼らと過ごす日々に、という意味である。
席に着く頃にはテーブルに何枚ものピザが置かれ皆は盛り上がりながら食べ合った。
センナも馴染んだ雰囲気で楽しげに喋っていて安心する。
彼女と過ごす時間は後少ししかないが、それも旅には付きものなのだと幸せに思った。





そして、ついに約束の三日目がやってきて、センナはエドと定期船に乗る為に準備をしていたので、リーシャも手伝っていた。
ローが訪ねに来た時に準備が終わったので部屋を出る。




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