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お昼過ぎの小腹が丁度空く午後三時。
食堂にいた船員達が音を立てて入ってきた白い皿にそれぞれ興味深げに見遣る。

「お待たせ。出来たよ、ホットケーキ」

「リーシャの作ったホットケーキなんて久しぶりだ」

ベポが嬉しそうに笑う。
大きな皿をペンギンとシャチに運ぶのを手伝ってもらいながらテーブルに並べていく。
ホカホカと甘い香りが漂うと、船員達の顔が綻ぶ。
先にローの分を取っておいたのでリーシャは賑わう食堂を後に船長室へとホットケーキを持って行く。

「ローくん」

「却下」

コンコンと船室をノックすると突然言われたので苦笑した。
やはり、名前を呼ばなければ入れてはくれないようだ。
ホットケーキが冷めてしまうと言えば暫し無言が返されて扉が開く。
笑みを浮かべて部屋に入ると立っているローと目が合い、座るようにソファを指す彼に従う。
コトリと、皿と味を付けるソースを置く。

「どれをかける?」

「メープル」

「ローくんはメープル派なんだ」

「お前はチョコ派だろ」

「うん。バターも好きだけどね」

一応、バターとチョコレートソースも持ってきたのでローに見せる。
ホットケーキの食べ方としては砂糖なしパンケーキとソーセージを一緒食べることもあった。
ローは砂糖が入っていてもいなくてもどちらでも良いと言うので、今回はどちらも好みに応じられるように作ったのだ。
コーヒーを用意し終われば、既に彼はパンケーキを口にしていた。

「どう?」

「美味い」

「ふふ、ありがとう」

テーブルにコーヒーを置いてローの隣に座る。

「私も食べるかな……人数分作るのって結構大変だよね」

「アイツらはお前の菓子を毎回楽しみにしてるから、作りがいは感じる……だろ?」

「うん、正解」

「フフ……賞品は何だ」

冗談めかして言うローにリーシャも考えるフリをした。
すると、先に彼が「ああ」と何か閃いたように提案してくる。

「これ、食わせろ」

「ホットケーキを?」

「それ以外に何がある」

クッと喉を震わせるローにリーシャは少し恥ずかしくなり、そっとホットケーキをフォークで刺し、彼の口元まで持っていくと、躊躇なく相手は口を開けた。
パクッと効果音が出そうなくらい一口で食べたローにじわりじわりと顔が赤くなる。

(うわ……恥ずかしい……)




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