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「エドさんとはいつから付き合っているんですか?」

「彼とは幼馴染みなの。でも、付き合ったのは三年前よ」

照れるセンナにリーシャも思わず赤くなる。
女性同士で恋愛を語る機会など稀で貴重なので、盛り上がるのは当然だろう。
ローとのキスについて聞かれるとさすがに冷や汗をかいた。

「ディープに決まってんだろ」

「!?」

「ローくん!?」

突然入ってきて嘘を吐いた彼にリーシャはドキリと心臓が鳴る。
ディープという単語に、自分もセンナも顔を俯かせ真っ赤になった。

「夜は手加減しねェしな」

「ロッ、ローくん!!」

恥ずかしいなんて時限ではないので叫ぶ。
事実ではなく、嘘を付くにも過激な発言が目立つ。
リーシャはもう耳まで真っ赤になりながらローの口を塞いだ。

「わわわ、私!部屋に、もっ、戻るわねっ!」

「ま、待ってセンナさん!」

リーシャの叫び虚しく、彼女は足早に食堂から出て行った。
前に出した手はうなだれる肩と共に降ろす。
ローを見るとリーシャは抗議した。

「ど、どうしてあんな!」

「恋人なんだから当然だ」

「でも、フリでしょっ」

「フリでも恋人は恋人だ」

そもそも何故恋人のフリをしなくてはいけないのかと思ったが、問題は何故過激な発言をしたのかという事だ。
明日からセンナとまともに顔が合わせられない。

「あんな、あんなっ。は、恥ずかしいよ!」

「恥ずかしい?なら、真実にすれば羞恥心は湧かないかもな」

「な、何言ってるの!」

頭が真っ白なリーシャは、ローに壁際まで追い詰められている事に気付かなかった。
ハッと今の状況を理解すると、違う感情が胸に広がる。

「え……何してるの?」

「身動き出来ねェようにしてる」

「違っ、なんで……?」

ローに見下げられている。
自分が。
ぽたりと、ローの髪から雫がリーシャの頬に落ちる。
褐色の指が頬に触れ、親指が唇をゆっくりと味わうようになぞった。

(ローくんは、今……何をしているの?)

脳が状況を処理出来ない。
きっとこれは、胸がありえない速さで動いている事と関係しているのだろうか。
リーシャはローの藍色の目をただ見つめる事しか出来ない。
少しずつ、五センチ、四センチ。
二センチ。
距離が短くなる。
あと、僅か。
吐息を唇に感じた。




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