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「眠くなってきた」

と、リーシャの腕を掴み本を脇に置くとローはそのままベッドに倒れ込んだ。

「私も?」

「ああ」

キュッと手の力が強くなり、一緒に寝るように足される。
まだ昼だから昼寝をしたいのだろう。
リーシャはふっ、と笑い頷いた。



***



彼女の寝息が聞こえてくると、ゆっくりと瞼を上げた。
本当は寝るつもりはないのだが、まだ一緒に居たいが為の口実。
ジェイドに電話をしたいと言われた時に「もう潮時か」とダイヤルを回した。
予想通りリーシャは泣きそうになりながらも嬉しそうに話していた。
だが、「帰りたい」とは言わなかったので内心安堵したのは自分しか知らない事だ。
会話が終わると今まで何故言わなかったのかと問われ、言葉に詰まったのは不可抗力である。
しかし、彼女はこちらを安心させるように笑うので抱きしめたくなった。
そんな事は実際出来るわけがなく、ごまかすように、眠たいと口を次いでた。

(くそっ……)

本当は嬉しいくせに、と己の心が震えて。
繋いであるリーシャの手首を離して自分より小さな手に絡めた。
今だけは許されるとローは心に言い聞かせる。
スゥスゥと寝息が静寂しかない部屋に響いて、耳に入ってきた。
ローは彼女の顔に近付きそっと唇を押し当てる。
やはり起きない。
顔を離し、繋いでいない手でリーシャの顔の輪郭を優しくなぞった。

「依存して、何が悪ィ……」

誰に言うでもなく呟いた声は、弱々しいものだった。



***



夕方になるとリーシャは夕食の準備をする為に厨房へ向かった。
昼にたっぷりと寝たので気分はスッキリとしている。
この船にはコックなる人が居るので手伝いだけでも事足りるのだ。
コックは毎日献立をリーシャと相談しながら作るので、考える事も既に日課となっている。
キッチンへ行く途中にセンナが前を歩いていたので声をかけると、こちらに気付く。

「センナさんも今から食堂?」

「ええ。とても美味しいってシャチさんが言っていたから」

「そうなんですか……」

(センナさんは婚約者居るのに、シャチくんったら……)

シャチの口説き姿勢に内心微苦笑していれば、後ろから靴音が聞こえた。
誰かと首を向ければ上半身裸のローだったので驚く。




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