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リーシャは説明をしてくれたペンギンに理解した事を伝えるとローを見た。
「私、ナイチンゲールっていうのは名前負けしてるように思うよ……」
「……そんな事ねェ」
ぽそりと否定したローに目を見開く。
まさか彼がフォローを言ってくれる等思ってもみなかった。
お世話だろうが、とても嬉しくて頬が緩む。
目を反らす彼は何事もなかったように話しを続けた。
「この女を捕まえるのか捕まえねェのかはっきりしてもらおうか」
「ああ。分かっているが……貴方達に頼みたい事がある……」
「頼み?」
エドは口を開きにくそうに話し出す。
ローは眉間に皺を寄せて腕を組んだ。
「俺達が無法者だから頼むのか?お前も犯罪者だろ」
エドはローの容赦ない言葉にグッと拳を握る。
その時、彼の懐に入れてあったのか、小型の電伝虫がプルプルと鳴った。
エドは暫し静かにしていてくれ、と言うと通信を入れた。
「はい」
『こちらガバリア本部。センナは見付かったか?』
「まだです。引き続き捜索中です」
『見付け次第報告しろ』
「分かりました」
業務上の会話のような電話が終わるとエドは電伝虫を切った。
一つ息を吐くと彼はセンナを見る。
「センナ、今のを聞いていたな?分かったか、今のお前の立場が」
「ええ……私は確実に消されるのね」
「そうだ。だから、お前を生き残らせる為に打開策が一つある」
「え?」
「幸い向こうは俺達が恋人だと知らない。海賊と一緒に行動していれば定期船に上手く乗れるかもしれない……それには」
エドはロー達を見て頼み込んでくる。
そんな展開にローは嫌な表情を浮かべた。
「断る」
「ローくん……」
今回ばかりはさすがのリーシャも躊躇する。
組織に追われ、尚且つ匿うなど至難の業だ。
それよりもエドがセンナを匿うなど予想外だった。
「ガバリアっつーのは組織の名前か」
「ああ。そうだ……密輸と同時に販売もしている」
ローの一刀両断の言葉で諦めたのかエドは頷く。
しかし、センナは諦めきれないのか思い切ったようにお願いしますと頭を下げた。
すると、ローから放たれるのは威圧した雰囲気。
威圧感をひしひしと感じるのか、エドとセンナは静かになる。
リーシャも成り行きを見守るしかないと悟ると、ベポを見た。
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