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案内された場所は何の変哲もない、所々が壊れている空き家だった。
センナはそれを見て至極驚いて泣きそうな顔をしていたのでどうしたのかと聞いた。



「この空き家、私とエドが小さい時に遊んだ場所なの……まだあったなんて知らなかった……」



口に手を当てて家を眺めるセンナにリーシャも眺める。
二人の思い出の場所という事なのだろう。
眺めていると後ろからローの声が聞こえて家の中に入る。



「今にも屋根が落ちて来そうだな」

「全員入れないね」

「外に数人見張りを頼んだから大丈夫だ」



ローの早い行動に内心驚きつつ頼もしくも思った。
流石だと言えばローは気を良くしたのかニヤリと笑う。
エドが全員に向き直りそれぞれの顔を見遣る。
センナはギュッと手を胸元で握り締めていて痛々しく思った。
恋人にしては淡泊なようなエドの態度にハテナが頭に浮かぶ。
センナを追う何者かの一人と自らを明かすエドを恋人に持つ彼女も不可解だが。
リーシャはエドが何かを話してくれる事を期待した。


「センナは俺達組織の計画している情報を海軍に密告しようとしている。そうだな?センナ」

「……そうよ」

「それで俺達はセンナを追うことになった」

「センナさんは組織の一員なの?」

「!……貴女時々鋭い事を言うのね」

「トラファルガー・ローの女なら納得はできる」


センナの指摘にエドが言葉を添えてきて目を見開く。
今、何か間違った解釈が聞こえてきた。


「女?私が、ローくんの?……それはんくっ!」

「俺の事を知ってんのか」


ローが突然リーシャの口を塞ぎ、代わりに話し出したので訂正を入れる事が出来なかった。


「説明してもらおうか」


ローは悠然とした態度のまま近くにあった木箱に座る。
リーシャも手招きされたので近くに寄った。
もう一つ古い木箱があるのだが、座る度胸は持ち合わせていない。
ローが問い質すとエドとセンナは躊躇しながらも少しずつ話し出す。



「俺は密輸、偽造を行う組織の一人だ。センナもな」

「コーヒーの豆を違法に売る組織よ」

「センナはその情報を海軍に話そうと逃げているわけだ」



簡単に見えて奥が深い内部事情にリーシャとローは一時沈黙する。
彼は何かを考えているような顔をしていたが、自分はどう反応すればよいのか見当がつかなかった。




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