×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
 
59



島に上陸したらしいが、とても驚いた事にコーヒー豆の煎じた香りが鼻を掠め一気に空気を変えた。
話を聞けば、この島の名前は『プレッソ島』。
由来を聞かずとも頭に浮かぶ湯気。
名産らしく遠方からコーヒー豆を求める人間も少なくないらしい。
ローも船員達もコーヒーは好きな方なので楽しみだと朝食の時話していたのたが、リーシャはやはりミルクたっぷりのコーヒーがいいので、怖ず怖ずとペンギンに大丈夫かと確認してみれば問題ないとお墨付きを貰った。



「良い香り……」

「味も良いだろうな」

「ローくん此処にいたらコーヒー中毒になっちゃうんじゃない?」

「お前こそ『もうコーヒーなんて見たくない』って言うかもな」

「ふふっ。ないよ……きっとローくんは私がそう言ったら意地悪して『毎日コーヒー入れろ』って言いそう」

「いや、きっと豆から作れって言うな」



二人でそんな会話をしていると前方から女性がぶつかってきたのでよろけたが、ローがリーシャをすかさず支えると走り去る女性を見遣りすぐに前を向いた。
腰を抱かれ支えられた状態で進み出す彼にもう平気だと言うが危なっかしいと離してもらえない。
困り果てていると目当ての、一番島で大きなコーヒー専門店に着き、中に踏み入れれば一層豆の香りが増してコーヒー豆に囲まれているように感じる。
一般人から上流階級まで様々な客が店内で名産を堪能しているので海賊のリーシャ達もそこまで目立つ事はなかった。



「どれを買うの?」

「とにかく美味かったらいい」



ローはコーヒーこだわる人間ではないようで適当な言葉が返ってきた。
リーシャは成る程と納得しながら後ろを向く。
船員達にも好みがあるのか尋ねるとコーヒーの名前らしき答えが各自から聞こえてきた。
その時にローがそんなに買えるか、と呆れていたので船員達は一度口を閉じて円に集まると、何かを話し合ってコーヒーの種類を三つにまとめた。
見事なファインプレーに笑みが零れる。
ローの一言はまさに鶴の一言なのだと実感しながら聞いているとベポが手を挙げ、どうしたのだとリーシャが聞くとトイレに行きたいと言ってきたので、一緒に店員に場所を聞く事にした。
聞きたい事があると、トイレの場所を教えてもらうと外にあるらしい。
ベポはまだ場所がいまいち分からないと言うのでローに許可を得て二人で外へ出た。
周りには人がたくさん居て、人混みに揉まれつつ進んだ。




prev next
[ back ] bkm