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村人と交渉を済ませた後、ハートの海賊団の船員達は焼け残った、リーシャを誘拐した海賊団の宝を回収した。
ローが村人と交渉させた理由は海賊団を潰す代わりに物資をこちらに渡すようにする為だ。
マッドニー達に絞り取られた分も貰っていくが、それだけでは少ない。
渡せる分を総合すれば上出来の結果となる。
ローは常に利益を得るやり方をする。
多少不利益な事があっても痛手にはならないのだから船員達は船長を尊敬しているのだ。
海賊としても策士家としても例外なくペンギンも舌を巻く。
船にて数人で待機していると、リーシャを救出するようにローに指示されたバンダナが彼女と一緒に戻ってくるのが見えた。



「リーシャさァ〜ん!」

「無事で良かったっす!」

「心配かけてごめんなさい……皆」

「怪我もないようだし、何事もなく帰ってきたんだ。それだけで」

「十分だよー」



ペンギンの言葉を盗ったバンダナにリーシャは笑みを零した。
盛り上がっているとローが戻ってきたので駆け寄る。



「ローくん……」

「お前ら、村から物資を運び込め」

「了解しました!」



船員達はローの機嫌を損なわぬように迅速に移動した。
彼はリーシャに顔を向けると無言で手を引く。
歩き出す行為に何を言われるのだろうかと考えた。
船長室のベッドに座らされると、ローは刀を立て掛けてそのまま横で本を読み始める。



(何も言わない……?)



不可解な態度に思わず口が開く。



「怒らないの?」

「怒る理由がねェ」



すぐに返事が返って来たが本から目を離さない。
怒っていないのなら、何故自分を座らせたのか。
リーシャは何となく座っていられなくて何かしようと立ち上がろうとした。



「どこへ行く」

「……お茶をいれるだけだよ」



喧嘩した時の比ではない空気にそう説明すれば、座れと言われる。



「喉、渇いて……煙吸ったから……」

「すぐに用意してこっちに来い。お茶もここで飲め」

「うん。わかった」



心配をかけてしまった事もさせてしまった事も自覚しているので頷く。
ロー達が助けてくれなければどうなっていたか分からないのだ。
今でも助かったという事が奇跡に思えてならない。



「ローくんの分」

「あァ」



彼にもお茶を渡すと、ごくりと口に入れ、熱かった喉に水分が行き渡り息をついた。




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