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眉間に皺を寄せるローにリーシャは一つの言葉が浮かぶ。



「お節介……だよね。ごめんなさい」

「いきなり謝るな」



ローは口元を歪めリーシャの頭をクシャッと少し乱暴に撫でる。
昔は逆の立場だったのにいつの間にかリーシャの身長をも越して見上げるようになった。
頬を緩めているとローが移動すると言い、コーヒーは買ったのかと尋ねると買ったと言うので流石だと感心する。
場所を移しレストランに入ると彼は袋を掲げ店員に一言。



「貸し切りだ」



一言なだけに、威力は抜群で店員は慌ててスタッフルームに走ると次はオーナーらしき男がリーシャ達の前に歩いてきて、それから交渉が始まり見事ハートの海賊団はレストランを貸し切りにした。
最初はお酒や料理を頼む等して賑わっていたが、ローがセンナに質問をし始めた事により、空気が変わる。



「お前の名前は」

「……センナ」

「何で路地裏にいた」

「追われて、いて……私」

「誰にだ」

「……答え、られません」



じっくりと相手を見るローに対し、センナは膝の上で手を握り締めていた。
何か深い事情があるのだろうか。
怯えるように路地裏にいたのだから人には言えないような辛いことがあったのかもしれないと思った。
誰かに追われていると言ったセンナにリーシャはできるだけ慎重に質問する。



「センナさんはこれからどうするの?」

「それは……」



彼女が答える前にローが「静かにしろ」と店の中にいる全員に言い放つ。
緊迫した空気が数秒たった時、突然レストランの扉が激しい音を立てて開いた。
驚愕の表情を浮かべるセンナとリーシャ。
ロー達はどこか慣れた様子で扉を見ていた。



「見つけたぞ!」



スーツを着た男がセンナを見て叫ぶ。
彼女は怯えた表情をし、店の奥に走って逃げる。
リーシャが呼び止めようとするとローが腕を掴んできた。



「助ける義理はねェ」

「っ、でも!」

「あの女は面倒臭ェ事に関わってる」

「……!」



それ以上彼に何も言えなかった。
確かに助ける義理はない。
自分達は海賊であって正義の味方にはなりえないのだ。
気持ちが沈むのを感じたリーシャはセンナの去った方向に目を向けると椅子に座る。
ロー達もレストランに来たのだからとメニュー表を渡してきた。
受け取ると彼が「選べ」と何事もなかった様に言う。




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