02
ベポとシャチの目の前に座るのはペンギン。
深く被るボンボンがついた帽子によりその目には滅多にお目にかかれない。
「ペンギン俺マジで暇なんだよー。どうにかしてくれ死にそうだ」
「大袈裟な奴だな……これでも読んどけ」
ニュースクーにより売られる新聞をバサリとシャチに投げ寄越す。
シャチは暇を挽回できるチャンスに食らい付く。
「よっしゃ。って――はァっ!?」
「驚いたか?」
「ったりめーだ!懸賞金上がってるじゃねーか!」
「それキャプテンの?」
「ああ」
ベポに一枚の紙を見せるペンギン。
デットとアライブの文字の下に顔写真がある。
それはこの船の船長である――。
「騒がしいな」
「あ!船長!見て下さい、これっ」
コツリと靴の音が響く。
目の下に隈が絶えない男、トラファルガー・ロー本人がシャチの持つ懸賞金の書かれた手配書をジッと見ると紙から顔を定位置に戻しフカフカなブチ模様があしらわれた帽子を被り直した。
「二千万か……フフ、海軍もぬるィな」
「どうしたの?盛り上がってるようだけど……」
そんな時、噂の手中にあった紅一点が現れた。
ウェーブがかった薄緑の髪が腰近くまであり瞳のも同色の容姿。
ローの幼馴染みというリーシャ。
「あ、リーシャ!ちょうどいいタイミングで来たな。実はな」
「船長の懸賞金が上がったんだ」
ペンギンがシャチの言葉を横取りする。
隣で憤慨するシャチを何食わぬ顔で受け流すPENGUIN帽子の男にリーシャは「そっか……」と反応はあまり良くなかった。
それが気に喰わないのはローであって。
「喜ぶところだぞ」
「え、喜ぶところじゃないよ」
ふぅ、と悩ましげなため息をつく彼女にますます顔を顰(しかめ)るロー。
それにアワアワとするのはベポ。
「リーシャ、キャプテンを褒めて上げてくれよ」
「ベポ。余計な事を言うな」
ローが牽制をかければベポは落ち込み、それに反応するのはリーシャ。
「ベポに八つ当たりしちゃ駄目だよ」
「してねェ」
「もう……」
ここで怒らないのがリーシャで、彼女が穏やかな性格だからこそ喧嘩にまでは至らないのだろう。
紅一点はそこである事を思い出したように言い出す。
「今日の天気は良好?」
ベポに尋ねると彼は「一日中とはいかないけど二時間ぐらいは晴れていると思う」と教えてくれた。
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