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ローは再び口を閉じ沈黙に徹するのでリーシャはため息をつく他なかった。
唖然とするユリアに「ありがとう」と情報のお礼を述べてクッキーを包んだ袋と茶葉を手に持たせて家に帰ってもらった。
遅くなるといけないし、海賊船に長居させるのも忍びない。
一応外まで見送り、見えなくなるまで手を振る。
後ろを向いて部屋に戻ろうとするとローが入口に立っていたので中に入らないのか、と問う。
彼は感慨深げに足を部屋に向けるとリーシャにも来るように足した。



「あの子供に何を聞いた?」

「言う必要はないと思うよ」

「……鍵をかけた事、怒ってんのか」

「怒ってないって思ってるの?」

「……悪かったよ」

(多分、謝ってるけど鍵かけるんだろうな……)



部屋に入ると、ユリアが座っていた椅子に腰掛けるローを見る。
彼は肘をテーブルに乗せて手を組む。
刀は傍らに置き、リーシャに質問してきた。
それに答える義務はないと思ったが、一つくらいなら支障はないだろう。



「“ナイチンゲール”」

「!……隠すつもりはなかった」



少し目を見開いたローはバツが悪そうにする。
明らかに他意があったようだ。
ナイチンゲールと言われる原因を彼も察したらしく伏せていたとのこと。
無償で海兵を治療したから名称がそうなったと考えられる。
名称負けしているとしか思えない。



「あの海兵が余計な事を喋ったせいでな」

「別に嫌味じゃないし、悪い事に使われなくて私は良かったって思ってるよ?」



ローはリーシャの言葉にもあまり納得していないようで肯定しない。



「私の身を案じてくれるのは嬉しいよ?でも、私だって自由に歩き回りたい」

「………」

「何も言わないのはつまり、勝手にしてもいいって事だよね?」



リーシャはラチが明かない会話に辟易(へきえき)すると席を立つ。



「何処へ行くつもりだ」

「何処かに」



ペンギンのところに向かうつもりなのだが、答えることに嫌気がさした。
別にローが嫌いになったという理由ではない。
ただ、何も答えない彼に寂しく感じたのだ。
自分はずっとローの隣にいた幼なじみで家族なのに、頼るどころか全く教えてくれない。
ローと初めての喧嘩をした瞬間だった。









途中まで引き止めようとしたローを走って振り切ると、ペンギンの部屋に飛び込んだ。




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