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まだこんなにも幼い少女が既に海賊から金品を盗むなど。
この大海賊時代にそんな甘い考えはお門違いかもしれないが。
リーシャは動揺する気持ちを隠しつつ一つ一つ質問をしていった。
自分が欲しい情報をユリアは知っているかもしれないと思ったのだ。
案の定、確かにその口は新たな情報を齎(もたら)す。



「モンキー・D・ルフィって名前の人間を聞いた事はない?」

「有名な賞金首だよ。最近一億ベリーになった話題の人」

「……!?」

「お姉さんやっぱり監禁されてたんでしょ?」

「え、あ……そんな事、ないよ……」



動揺に動揺が重なり上手く頭がついていかない。
リーシャの様子を変に感じているユリアは続けざまにこう言った。



「お姉さん、もしかして“ナイチンゲール”?」

「え?ナイチン、ゲール……?何のこと?」



初めて聞く言葉ではないが、意味が分からなかったのは事実だ。
彼女によると手配書は発行されてはいないが、新聞にハートの海賊団の名前と一緒にナイチンゲールとよく記載されるそうだ。
ナイチンゲールはこの世界でも『本』として存在する著作らしい。
もしかしたら、以前助けた海兵が何かを言ったのだろうか。
リーシャは身に覚えがある出来事に苦笑する。
自分がそんな大層なことをしている人間だとは思えない。
ユリアはリーシャの表情にハテナを浮かべていた。



「あ、話を戻しちゃうけど……その」



ユリアの質問には確かなものがない為、答えられないのでルフィの事をもう一度聞き出す。
その時、扉が開いた。
鍵を閉めていなかったから突然の事に二人は固まる。



「誰だてめェ」

「ト、トラファルガー・ロー!」



ローに過剰に反応するユリア。
リーシャはマズイ事態なのだろうかと思ったが、打開策はある。
まずユリアを落ち着かせるとローに事情を話した。



「ローくん。この子は私の友達でお客様。私ね、ローくんに、ここに閉じ込められたから……お茶と話し相手になってもらってただけ」

「………」



正当な言葉を述べればローは苦虫を潰したように口元を歪めて、居心地悪そうに斜めを見た。
気まずい気持ちを隠しているつもりだろうが、そうは問屋が降ろさない。



「鍵をかけるなんて、とっても酷い事なんだよ?」

「今はその子供の事を」

「だから、ユリアちゃんは私のお客様」




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