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ローの懸賞金が五千万になったとニュースで知り、ハートの海賊団総出で宴会が開かれた。
確かにおめでたい事なのだろう。
海賊として箔が付くし、何よりグランドラインでは強く居続けなければ生き残れない。
隣で満更でもなさそうに笑みを浮かべる幼なじみにリーシャも釣られて笑う。
麦藁海賊団のような光景に懐かしく思った。
彼等は本当にいるのだろうか。
夜、星が綺麗な時は何気なく空を見上げる。
それは空に満点の星が広がっていて、幻想的な気持ちになるというのもあるが、元の世界とこの世界で生きている狭間に罪悪感があるからだ。
自分は生きている証が不安定過ぎる。
この世界の人間ではないのに今、この時この場所に立っているという現実を受け入れてはいけないのだ、と思っている。
そういえば、夜空を見ている時にはよくローに呼ばれていたように思えた。
勘違いかもしれないが、それが現実へ戻される合図のようになっていて、その度にリーシャはローに対して罪悪感を抱く。
記憶喪失だと、偽る自分が。



「食べねェのか」

「あ、うん!食べるよ」



目の前に食事があった事を思い出し、素早く手をつける。
ローはそんなリーシャをジッと見ると前を向いた。
この前、突然ローが後ろから抱きしめてきた時はどうしたんだろう、と驚いたが恥ずかしくは思わなかった。
きっと彼が縋るように手の力を強めたからだろう。
ローに抱き着かれるのは久しぶりだったが、慣れていたのでただ何も言わず受け入れた。
突き放すなんて選択肢も持っていない。
ローの安らげるような場所になれるなら何だって構わないのだ。



「それにしても船長、この間の戦闘がきっかけだったんですかね〜」

「おい、馬鹿野郎!リーシャさんが居る前でそういう話はするなって言っただろ!」



新入りらしい船員に釘を刺す先輩船員。
リーシャは別に構わない、と言うが新入り船員はそれ以上話さなかった。



「せっかくの宴だから無礼講だよ、皆」



そう付け加えると、この場の空気が和らいだ気がする。
ローはそれに、ニヒルに笑みを浮かべ再び盛り上がる船員達を見つめていた。



「お前は無意識で天然だが、一番の理解者みてェだな」

「お母さんみたいな?」

「馬鹿言うな。俺より一つ違うくらいで母親は可笑しいだろうが」



クツクツと楽しそうに笑うローに機嫌が良いとわかった。




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