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35



その日は雨が降っていた。
どうせ外に出られないのなら、と潜水艦らしく海の中に潜水している最中。
何か予感したわけでも、直感したわけでもないから度肝というか、背中に冷や汗が伝う感覚がした。



「ア、アラバ……スタ……?」



ギュッと新聞を握る手に力が入る。
記事には確かに『クロコダイル七武海剥奪』と書いてあり、詳細にはアラバスタに反乱を招いたと載っていた。
ルフィの手配書があるはずなのに新聞には挟まれていない。
何故かと思い、ペンギンが管理している筈だと考えつき早速、彼を訪ねた。



「ペンギンくん。今日の新聞にあった手配書とかある?」

「なかったが……誰を探しているんだ?」



当然の質問だったが、ここで名前を出すのも危ぶまれたのでごまかした。



「確か、えっと……D……って真ん中にスペルがあったような名前だった、かも」

「D?ちょっと待て」



ペンギンは手配書をまとめている引き出しに手をかけると束をバサリと出した。
ペラペラとめくられる手配書に胸が脈を早くする。
返ってきた答えは「ない」だったので残念に思いながらペンギンの自室を後にした。



(可笑しいなぁ)



クロコダイルはルフィ達が倒したはずだ。
だから、懸賞金が首にかけられているはずなのだが。
リーシャは頭にハテナを浮かべながらローの部屋に向かう。
彼なら何か知っている事があるかもしれない。
扉の取っ手に手をかける前に呼び止められ振り向くと、丁度ローが立っていた。
手配書について聞いてみると彼は無表情で「さァな」と言い、リーシャを部屋に入れた。
ここまで情報がないとなると考えられる物事は決まってくる。



(パラレルワールドってこと?)



同じ世界だがルフィ達は存在していない。
その可能性も多いにある。
ローがどうした、と心配をしてきたので慌てて何でもないと答えた。
そう言っても、頭の中はルフィ達の事で埋め尽くされている。



「リーシャ、今何を考えている?」

「何も考えてないよ?しいて言うなら明日の予定を考えてるかな……」



苦い顔を浮かべる彼にこれ以上心配させたくない。
それでも、ローはリーシャの肩に手を伸ばして身体を引き寄せてきたので、もたれ掛かかった。
安心する胸や香り。
そう感じている反面、やはり気持ちは向こう側を飛び越えていた。




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