33
ローはリーシャの記憶や異世界云々を知らない。
それにハートの海賊団と麦藁海賊団は言わば敵関係にある。
これを伝えることは難しいと思えた。
「えっと、な、なんでもないよ」
フルフルと顔を動かすと、ローがいきなり手を繋いできて、顔を上げると不機嫌を表すように彼の額には皺が刻まれていた。
「??」
「洗剤買いに行くぞ」
「うん?」
怒っている理由も分からなくて戸惑いながら手を引かれた。
小さな市場にも寄っていきたいと船のコックが言うのでペンギンの集めた情報の元、そこへ向かう。
人がたくさんいる市場は果物や、太陽を受けて光る野菜が置いている。
目をあちこちに移動させて感嘆に浸った。
途中でベポが林檎を食べたい、と言い出したのでローがベポに金銭を渡してリーシャに向き直った。
(そういえば)
果物で思い出したが、まだローの能力を見た事がない。
リーシャはローに悪魔の実の詳細を聞き出してみるが、彼は「機会があればな」とぼかした。
こんな事はザラにあるので慣れたことだ。
「あ、ローくん。あっちに行ってもいい?」
手を繋がれたままなので一緒に行動するしかない。
リーシャの指の方向に首を向けたローが頷くとそっちへ足を動かした。
通る時に酒場が見えたが、そこに用はない。
「服が欲しいのか?」
「うん。もうそろそろ何着かほつれてきてるし」
「そんなになるまで着なくていいって何度も言ってるだろうが」
「でももったいないし、何より思い入れがある服ばかりだから」
「………」
ローはため息をつくと服屋に入った。
リーシャもついていくと店員の声が響いた。
ブランド服などがある中、星のマークに傷の痕があるものに目がいく。
「クリミナルブランド?」
「話題の服ですよ」
後について来ていた店員が説明してくれる。
ローは興味があまりなさそうに見ていたがリーシャに「欲しいのか。買ってやる」と服を手にしようとした。
「や、いい!いらないよ!高いしっ」
「ブランドだから高いのは当然だ」
「だ、だから。まだ服全部見てないし買わなくていいよ」
ローはリーシャの焦る顔に、仕方なさそうに、服を手に取るのを止めてくれた。
再び店内をグルグルと見る。
可愛い服やメンズも見ながら少しずつ服をカゴに入れた。
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