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バンダナとそれから少し喋るとリーシャは廊下を歩いていた理由を思い出し彼と別れた。
船長室の前に着くとノックを二回して声を掛ける。



「ローくん、入るよ?」

「あァ」



簡素な返事を聞き、扉を開けるとローは新聞を広げコーヒーを飲んでいた。
リーシャは珍しくニュースの活字を目で追う幼なじみに、こてんと首を傾げる。



「ローくんが新聞を呼んでるところ久しぶりに見たよ。あ、食器用洗剤がもうすぐ切れかけてるんだけど、次の島までどれくらいかかる?」

「あと四日だ。それより、突っ立ってねェで座れ」

「うん」



リーシャはローの隣に座ると息をついてソファにもたれ掛かった。
彼はそれを見ると新聞を畳んでソファの両端に腕を伸ばす。



「疲れてるのか。仕事のやり過ぎだ。だから止めろと言ったはずだが?」

「違うよ。グランドラインの気候は四季に……」

「シキ?なんだそりゃあ」

「!――舌噛んじゃっただけだからっ。気候は変わりやすいから体がついていけてないだけだよって言いたかったの」

(四季って私の世界じゃ普通だけど……危なかった……)



もう少しで口を滑らせるところだった。
リーシャは内心、心臓が早く波打つのを感じる。
じっくりとローに見られてる事に気付くと、冷や汗をかきながら「だからだよ」ともう一度肯定した。
リーシャから視線を移動させ気分が悪くなったら言えと約束させられ一先ず頷く。
話題を変えようと、今日は何か気になる記事でもあったのかと聞くと、ローは無表情で「特にないな」とまたも簡単な答えを返す。
相槌を打つと、急に彼はこちらを見つめてきたのでどうしたのかと尋ねた。



「洗剤以外にも欲しいものはないのか」

「出来るなら私も連れて行って欲しいかな」

「……考えとく」



グランドラインに入っても滅多に島に降ろしてくれないローに苦笑する。
別に逃げはしないと言ってもわかっている、としか返ってこない言葉にどうしたものかというのが最近のリーシャの悩みだ。
いつも島に降ろしてと言うと、彼は渋い顔をしたり駄目だと一刀両断することが多い。
こうなったらとリーシャはいくつか考えておいた言葉を並べる。



「ローくんと回ればローくんも納得するんじゃないかな。いい案でしょ?」

「……考えておく。お前は人質になりやすいからな」




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