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ついに、グランドラインを越えたハートの海賊団は歓喜に満ちた雰囲気に浸っていた。
そんな喜ばしい数日を過ごしていた最中のこと。
一つの新聞をニュース・クーが運んで来たのは。



「アーロン一味が逮捕だってよ」

「魚人か?魚人を倒すなんて一体どんな……ん?」



シャチに新聞を見せられペンギンは一枚の手配書を見つける。
ペラッと紙を掴むとその金額に息を呑んだ。



「三千万ベリー!?」

「は、船長より上か?新参者で?」



写真の下にはモンキー・D・ルフィと書かれていた。
そのDの文字にペンギンは前にローから事前に報告するように伝えられていた事を思い出す。



『必ず教えろ。リーシャには内密にな』



と、真剣な顔と口調がやけに頭に残った。
隣にいるシャチにも絶対に言うなと口止めすると戸惑っているように頷く。
手配書と新聞を持って船長室に行くとローは机で作業をしていた。



「船長、例の人間の手配書が今日の新聞から出て来ました」

「……寄越せ」



ローがけだるそうな表情から緊張感の漂う顔付きになったので驚く。



(……一体どんな関係が)



リーシャには秘密にしたい事など、かなり重要な話に違いない。
ペンギンはジッと手配書に視線を注ぐローを見る。



「リーシャには伏せておけ、クルーも全員にそう言っとけ。感づかれねェようにな」

「はい、船長」



理由を知りたかったが聞けなかった。
必死に隠そうとする空気が全身から伝わる。
リーシャがモンキー・D・ルフィを知ればどうなるのかも気になったが、当然それも聞けない。








***







リーシャは食器をいつもの場所に納めると船長室に向かった。
もうすぐ食器の洗いもの用洗剤が切れそうだと伝える為だ。
廊下を進んでいるとバンダナが向こうから歩いてくるのが見えた。



「あ、リーシャちゃんだ」

「ふふっ。バンダナくんだけだよ、ちゃん付けするの」



年下に何々ちゃんと呼ばれるのは初めてだが不愉快には感じない。
相手がバンダナだからかもしれないが。
リーシャに彼は今から武器の手入れをするために甲板へ行くのだと話す。
バンダナが来てからも船は、海の上で何度か敵船と戦闘になった。
バンダナがかなり活躍しているとベポから聞いたので納得する。




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