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初対面でバンダナはやはり今と変わらずにこやかに「やあ」と手を上げた。
ライラはそれに眉を下げ戸惑ったように話を持ち出したので内心吹く。
内容は数週間後にある大会に出ないかと聞かれ取り敢えず窮屈な場所から出られるならと頷いた。
それからほぼ毎日牢屋に来る貴族に、バンダナはからかいに「俺のこと好きになった?」と尋ねたのだ。
すると、彼女はどうしてそんな事を聞くのかと言うのでイケメンだから俺、とカラカラと笑う。



「そう。貴方は顔がいいから私が惚れたのだと勘違いしたのね」

「勘違い?それこそ勘違いでしょ」



ライラは呆れた表情をするとふう、と一つ息を吸う。



「たとえ話だとして、顔が良いから国を守れるなんて理屈が出来たら、今頃戦争なんて起こらないわ。自信があるのはいいことだけれど貴方なんて動物や虫からすれば同じ顔よ、お猿さん」



と毒舌を披露され、バンダナはその時胸を貫かれた。
衝撃とも言う言葉に「は?」と間の抜けた声を出してしまったのは本当に不覚。
くすくすと笑うライラに一本取られたと知ったバンダナは王女という立場の偏見や先入観がガラガラと崩れ落ちるのを確かに感じた。
目から鱗やら何やら、自分に虜にならない女や顔について毒舌を言われたりと初めての経験だった。
そうなると後は大会に優勝するという目的しかない。
優勝して彼女といれば自由以外にも何かが見付かるかもしれないと思えた。
そうして、実際なってみれば想像を超える体験や出来事が自分を待っていて。
ライラはまず王女で貴族なのに平気で海を泳いだり釣りをしたりする。
今では悩みの種にしか感じない生活と性格。
そもそも、彼女が海賊に助けられる前はバンダナと共にいた。
陽気にまた海で泳いでいたのだが、潮の流れが急に早くなったのかライラが流されて慌てて飛び込んだ。
しかし、どこにも見当たらなくて急いで国王に連絡すると総出で捜索を行った。
それでも見つからないまま途方に暮れていた時、薄緑色の瞳が印象的なリーシャを見つけて声をかけたのだ。
イライラして無性にナンパしまくってやろうと思っていたのだと思う。
トラファルガー・ローという賞金首が現れると、厄介だと内心舌打ちしたくなる。
攻撃を仕掛けようと戦闘態勢になると、ずっと探していた護れなかった存在がそこにいた。
バンダナ、と薄いオブラートに花を包んだような声音。
己の耳を疑ったまま振り返れば、感情を抑え切れず歓喜に声を出してしまった。
王宮ではドタバタと非常事態の出来事で騒いでいたのにライラは何食わぬ顔で戻ってきたのだ。




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