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あっという間にバンダナは相手の急所目掛けてトンファーを振り下ろすと勝負はついた。
会場が呆気に取られていると、コツリと足音が響いたので出場者用の入口に視線が集まる。
出てきたのは深く帽子を被ったローだった。
突然の出現に審判は混乱するが、バンダナは何かを理解しているように語りかけた。



「いいんじゃない?どうせ決勝戦は貴方とぶつかるんだし、結果は同じだよ」

「ククッ、わかってるじゃねェか。頭の回転が早い奴は嫌いじゃない」

「どうも。それで?この大会に出た本当の理由を教えてくれたりしちゃうわけ?」

(え!気付いてる!?)



リーシャは虚を付かれた質問に手を口に当てる。
ローは平然とした態度で「お前と手合わせしてみたいと思っただけだが?」と答えた。
かなり本当っぽい返しにバンダナはわざとらしく肩をすくませライラがいる特等席に視線を流す。
高確率で協定がバレている。
ライラも感じているらしく顔が強張っていた。
バンダナはふーん、と透かした様子でローを見ると審判に話し掛けた。
どうやら決勝戦をいきなり始めてしまいたいと持ち掛けているようで審判は視線をさ迷わせると主催者関係の女王に行き着く。
彼女はコクリと了解を伝えると審判は戸惑いつつも決勝戦のルールと試合を始めるコングを鳴らした。
初めから全力を飛ばす両者にリーシャも手汗を握る思いで身を乗り出す。
最初で最後の戦いだから一瞬の場面が見落とせない。
ローは能力を使わず刀の柄でトンファーの打撃を受け流す。
悪魔の実に頼らないつもりのようだ。
船員達もそれに気が付いたようでハートを乱舞させて船長を応援した。
ローもバンダナもこの勝負をとことん愉しんでいるように見えたのは、お互いが笑みを浮かべて感心し合っていたからだ。
男は拳で語り合うのだと、昔テレビで見た事がある。
あれはこういう事だったのか、と今更ながら知った。
勝負はなかなか付かないまま数分が経つ。
最後は二人共距離を保ち一旦一息つくのが見えた。
ジャリッと砂を踏む音がして男二人は一気に踏み込む。
その瞬間、得物がぶつかり身体が交えて通過した。
同点に皆が思う中、ガクッと膝が折れたのはバンダナだった。
ライラが立ち上がる気配がしたからきっと駆け寄りたいのだと感じ、胸が痛くなる。
ローが勝つ事で全てが上手くいく予定なのに、なんて切なく儚い気持ちが胸を占めるのか。




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