×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
 
22



バトルはトーナメント形式で行われるのだと横に座るペンギンが教えてくれた。
大会開始のファンファーレが鳴り響く。
会場はリーシャの世界でいう、古代ギリシャの丸いコロシアムのように感じた。
既に白熱した雰囲気を放つ会場はとても囚人が出されるような陰険さを感じさせるものではない。
負けた者には死が与えられるわけではないので奴隷の戦いに比べればまだ気持ち的に見られるだろう。
何故争いを好むのか、人間は。
平和なノースブルーにいた時の環境が恋しくなる。
特にこういった場面では。
リーシャは内心、憂鬱な気分になりながらもローの出番まで闘う人達を見続けた。
人数はそこそこの出場なので時間がかかる。
やっとローが出て来る頃にはお昼間近。
休憩をもってしても精神的にキツい。
トラファルガー・ローと名が呼ばれた瞬間、会場がどよめきと歓喜と歓声に包まれた。
驚き半分怖いもの見たさ半分といったところだろうか。
能力者の出場と使用は認められているので彼の肩には愛用の刀がある。
二千万の賞金首の初戦相手はかなり大きい体格をしており自信満々に笑っていた。
ローはそんな相手を見ても尚、笑みを崩さない。
口元を三日月に描いた姿に誰もが驚いているだろう。
リーシャもハラハラしながらも頑張って、と小さく声に出す。
試合開始の合図と共に男の腕力を生かした攻撃が振り下ろされた。
ゴッと鈍い音を立てる地面には彼の姿はなく、男は驚きに目を見開いている。
その瞬間、鈍い音を立てて首筋に長いブチ柄ズボンと黒い靴が入っていた。
まさに手刀ならぬ足刀。
勝負はものの数秒でついた。
客席も審判も唖然となり言葉を失っていたのでローはニヤリと審判を急かすように見る。
慌てて勝負ありと叫ぶ審判に観客も沸き立つ。
横から船員達が己のキャプテンにハートを飛ばしているのが見えた。
確かに勝負の仕方が鮮やかだ。
そう思い、ローを見つめていると前触れもなく彼が一直線にこちらを見た。
リーシャの居る場所を把握していたとは驚きだ。
軽く手を振るとローも口元を更に上げた。
トラファルガー・ローの名前は一気にヒートアップしたので内心後から大変だなぁ、と他人事のように思った。



「休憩に入ってるみたいだし、私ローくんの所に行ってくるね」



皆ローの戦いぶりを語るのに夢中で話しが聞こえないようだ。
なので、リーシャは一人で待合室に行く事にした。




prev next
[ back ] bkm