×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
 
20



武道大会が今日開かれる。
ローがエントリーした事は今や国の人間で知らない者はいないだろう。
ライラの父親はローの事を大層気に入ったようで大会も楽しんでくれと言っていた。
彼はリーシャに絶対に来るなと、ずっと念押ししていたがハートのクルー達にもベポにも内緒で来た。
ライラは国王の代わりに特等席にいる。
リーシャは後ろの方の席で前方に居たのでハートのツナギ集団がよく見えた。
別に見つかってもよいのだが向こうもなかなか気付かない。
するとシャチが電伝虫を取り出して話しをしているのが見えた。
途中で慌て出しペンギン達に何かを訴えると周りも焦りに似た行動をし始める。
ベポとその時、不意に目が合ったので手を振った。
するとベポはクルー達にリーシャがいる場所を示すので首を傾げる。
何か自分がイケない事をしただろうかと考えたがわからない。
考え事に集中していればこちらにツナギ集団が押し寄せてきた。



「リーシャさん!」

「皆どうしたの?ローくんの勇姿を見に来たんでしょ?」

「「船から出たら駄目だって船長から言われましたよねっ」」



船員が口を揃えて言うので頷く。
すると皆頭を抱え出すので余計に思考が混乱した。
確かに見張りには何も言わずに出て来たが、それは自分もローの大会を見たいからだ。
それに、ハートの船員は船長の味方なのだから黙って船を抜け出すのは当然というもの。
リーシャがケロリと述べるとペンギンが冷や汗をかきながら背中を押してきた。



「来てしまったものはしょうがない……船長に会いに行ってこい」

「え?言わなくていいよ」

「お前が船から出て来たと知ったら大会なんて放り出してくる、あの人は」

「……んー」

(ライラさんとの約束が無しになるなぁ)



ペンギンの言い分も感慨深かったので、ここはおとなしく言う事を聞いておこう。
船員達に見送られてシャチとベポとペンギンに待合室に連れていかれた。
護衛を名目に四人で行動するのは自分から見れば余計に目立つ気もするが。
ローがいるであろう一室の扉が見えてくるとペンギンが代わりにノックをした。
返事が返ってくるとシャチが「ほら」と扉を開けたので中に進む。
パタリと扉が閉まり前を向くと疑問に満ちた表情と出会った。
目が合うと目力で「どうしてここにいる?」と言われたので見に来たのだと意見を主張する。



「船から出るなって言ったはずだが?」




prev next
[ back ] bkm