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本を取り上げた時が何度かあるのだが、何故か場所がバレていて困る。
場所を変えても必ず彼の手元に返ってくるので取り上げる方法は諦めた。
そこまで考えていると、リーシャはローに聞きたい事があったのだと、今思い出しながら聞き出す。



「ローくんはさ、最近疲れてない?」

「何だ唐突に。何か企んでんのか」

(ただ質問しただけなのに、何だろう……この言われよう)

「違うよ。クルーも皆疲れてるみたいだからローくんもそうかもって……取り敢えず好きな香りとか言ってみて」

「あ?香りだァ?」

「うん。好きな香り」

「……さっぱりした」

「何の?」

「柑橘系」

「わかった。明日楽しみにしておいて」

「ああ……――?」



意味が理解出来ない様子のローに前フリをしたのは今日ライラと計画の一つを実行させようと決めたからだ。
今頃彼女もバンダナにリーシャと同じ質問をしているだろう。
怪訝な顔をするローに上機嫌な笑みを見せながら部屋を足早に出た。
大会前日に迫った朝食後、リーシャとライラは早速二人で近くの商店街で買い物をした。
ベポが護衛プラス荷物持ちとして来てくれたので楽だ。
途中、どうみてもロー狙いの輩が白い巨体のツナギにあるハートの海賊団のマークを見て襲撃してきたがベポの見事な体術であっという間に蹴散らされた。
彼は胸を張って「キャプテンに報告するからね」と自慢げに笑っていたので頷いておく。
城に帰ると、褒めてくれと言わんばかりにローの部屋へ向かう打たれ弱い船員。
リーシャもライラと微笑み合う。
荷物を整理すると後に続いて船長がいる部屋へと歩き出した。
コンコンと扉をノックしノブを回して薄く開けるとベポが見えたので少し驚く。
思っていたより至近距離に顔があったのだ。
彼はリーシャに手を振ると部屋を出て行った。
用事が済んだのかローに下がれと言われたのかどちらかだろう。
ローはベッドに座った状態でリーシャを見ていた。
ベポから事情は聞いている筈なので敢えて敵襲の話題は出さない。
今は応接間にライラがいるので自分は彼の寝室で計画を実行しようと決めていた。
ローもリーシャに何も咎める様子はなかったし一応機嫌を伺いながら話し掛ける。



「ローくん、昨日言ってたアレ……」

「覚えてるが?」

「じゃあ寝室に今すぐ移動してね」

「は?じゃあって何だ。理由くらい言ったらどうだ」




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