13.5
ローは同じではなかったようで反応らしい反応をしなかった。
「バンダナは元々犯罪者の一味だったという昔の話から遡るのですが」
「犯罪者!?あの人が……」
「まァ妥当だな」
「見た目はああいう人ですが中身は根っからの燕ですよ」
「燕?」
「宿り木に止まらねェ奴って事だ」
「ああ……見た目もそんな感じに思うけど……」
中身も見た目も一致しているように思える。
リーシャが渇いた笑みを浮かべるのを見たライラも笑う。
「犯罪者が免罪になる方法がこの国では一つだけあります」
「武道会か」
「はい。優勝すれば国お抱えの護衛にもなれるので毎年荒れに荒れます」
「国の方針は大丈夫なの?」
「下手すりゃ暴走するな」
ローが断言すればライラも思っていたのか苦笑するだけで否定しない。
「ローくん出るの?」
「メリットが……ああ。アイツをもらうってのもいいなァ」
「バンダナをですか?」
「救いたい理由は何となくわかったが俺が大会に出て得をする事なんて高が知れてる」
「仲間に入れるって事……?」
「……わかりました。もし勝っていただいた際は私から説得します」
「いや、いらねェ。向こうからこっちに来たいって思わせりゃあいいだけだ」
恐らくここに船員達が居れば「船長〜!」と喜んでいただろう台詞。
リーシャも成る程と内心良いアイデアに思えた。
ローは満場一致の空気を感じたのかニヤッと笑う。
「三日後の大会が楽しみだ」
「三日?そんなに急な話なのに平気なの?」
「海賊業は何事も醍醐味の一つでしかねェからな」
「へ、へぇー……」
(すっごく楽しそう……やっぱり男の子だなー)
ルフィだって同じような事を言っていた記憶がある。
もちろん本の中の話だが。
リスクや危険と隣り合わせの冒険はワクワクしないと言えば嘘になる。
ローも海賊人生を楽しめと言うし仲間もいる。
ベポだって船長を信頼しているからこそここまで付いて来ているのだ。
リーシャもローを知る一人の人間として支えたい。
「応援しに行く、ね」
「あ?……駄目だ」
「えっ」
決心新たに言ったのに関わらず、一蹴(いっしゅう)された。
これには反論する気持ちが生まれる。
どうしてだと聞けば後悔すると言われ、目を丸くした。
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