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11.5



すると、横から助け舟の声が入る。



「リーシャさんは悪くありません。私の為に秘密にしてくれたのです」

「姫様は優しいねェ」



完璧に空気を逸脱した発言にローの眉間は下がるばかり。
リーシャも内心二人のバチリと鳴る火花に焦る。
喧嘩はしてほしくない気持ちはライラも同じようでバンダナを咎めた。



「私の命の恩人よ。城に招待するからお父様に伝書を送っておいてバンダナ」

「はァーい」



バンダナはあっさりローから目を離すとどこかへ走り去った。
ライラは代わりにローに無礼を詫びて苦笑する。
彼がどうやら噂のボディーガードのバンダナらしい。
想像していたガタイの良い屈強な男のイメージが崩され唖然とした。



「アイツは見た目と違ってかなり強いだろうな」

「そうなの?」

「ええ。バンダナは強いですよ。何と言ってもトンファー使いとして国の武道大会で優勝していますからね」

「優勝っ!」

「相当手慣れてるみてェだしな……へェ」



何かを閃き、企む表情のローの顔は独特なのでわかりやすい。
物凄く、言ってしまえばあくどいのだ。
腹に一物ありますと顔に出れば実行率は百発百中。
前にも何度か経験があるのでリーシャはそっと窺う。



「ローくん?あの人に……何もしないでね」

「命令するな。それに何もしないかもしれねェだろ」

「命令じゃなくてお願いだってばぁ……」

(口が年々荒くなってる……ジェイドさんごめんなさい)



育ての親に内心平謝りしながら溜め息をつく。
言動が徐々にリーシャの予想を上回る。
きっといずれ、彼の考えていることが全くわからなくなるかもしれない。
人は成長する度見方も何も変わる。
彼の未来に不安を感じた。
昔感じた気持ちにデジャヴュ。
オムライスを作った時の心配より重くなっているのはローが海賊になってしまったからかもしれない。



「姫様ぁー、送ってきましたよ」

「では行きましょうか。トラファルガーさん。リーシャさん、ご案内致します」

「リーシャちゃんって言うんだ。よろしくねー。俺はバンダナ――おととっ」

「触れるな、近寄るんじゃねェ」

「言ってくれるね〜」

(ローくん……!)



バシッと刀の鞘部分でリーシャに差し出されたバンダナの手を叩き落とすロー。
荒行に冷や汗をかく。
このまま二人を近付けさせて大丈夫なのかと思ったがバンダナはまた、やけにあっさりとライラに歩み寄った。



「面倒臭ェな……厄介な島に来ちまった」




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