×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
 
9.5



リーシャはライラの隣に座った。



「おい、お前の席はここだ」

「特に決まってないんだし今回は特別。ね?」

「……チッ」



ローの拗ねた声に苦笑する。
普段食事をする時は彼の隣なのだが今はライラと喋りたかった。
舌打ちをした船長はリーシャの座った椅子の隣に座り直して足を組んだ。
結局、場所はあまり関係がないではないか、とは口には出さずライラを見る。



「ライラさん、何か不便はない?」

「ありません。寧ろとても賑やかで楽しいです」



ライラはにこりと笑う。
ストレスにならなくて良かったと内心胸を撫で下ろす。
初めての海賊船に怯えた様子もない彼女は相当順応性が強いのかもしれない。
船員達もライラのおしとやかさに気後れせず話し掛けているので一安心である。
シャチがリーシャ達の会話に入り込む。



「ライラちゃんが無事で本当に良かったよ」

「シャチさんが私を引き上げてくださったお陰です」



あの時の慌て様を棚に上げて鼻の下を伸ばすシャチにベポが叱咤する。



「俺が引き上げたんだ。シャチは釣り糸垂らしてただけだぞ」

「おい!バラすなよっ」



シャチは慌てて白熊に怒鳴る。
その時、一つの声が部屋に静寂を与えた。



「静かに食えねェのか……」



ローが怒りの声音でだらけた集団を一喝する。
リーシャは首を竦めるライラに大丈夫だと保障した。
ローは人に媚びを売ったり売られたりするのを嫌う。
それは船長をする人間の特徴とも言えるだろう。
リーシャは幼なじみを見て改めてそう思った。
その時、彼が食べるチャーハンにはグリンピースが入っている事に気付き声をかける。
食べなくては不摂生だと言えば「食え」とリーシャの皿に緑の豆が移された。
仕方ないとちまちました集団を口に入れる。
相変わらずグリンピース嫌いは健在だ。
彼はそれを見届けるとトレーにあるデザートの杏仁豆腐をリーシャのトレーに置いた。
きっとグリンピースを食べたからだろう。
しかし、ローも甘いものが好きな事を知っている為首を横に振り元の位置に戻す。
彼も再びリーシャの手元にデザートを置き、と押し問答が繰り広げられる。
最終的にはローが食べるのだがライラはその一連のやり取りに目を丸くして見ていた。



「仲がよろしいのですね」



ライラがそう口にするとリーシャは説明しようと向き直る。




prev next
[ back ] bkm