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- ナノ -
 
8.5



護衛がいても海で泳ぐなど無謀だと感じたし、その護ってもらえる人だって結局は彼女を助けられていない。
なのにライラは大丈夫だと確信しているのが妙に違和感を感じた。
そんな疑問を拭い去る事が出来なかったが聞くのも憚られたので一旦置いておくことにした。
ライラの住む島はノースブルー最後の島である為運が良く、ログもそこを示しているとベポが言う。
ローも事情を聞いた上で島に送り届けると宣言した。
八割の説得はリーシャがしたのでお墨付きだ。



「ローくん今回は羽振りがいいね?」



リーシャは不思議に思い尋ねると彼は「まァな」と否定をしなかったし、おまけにどことなく機嫌も良さそうだ。
船長室でもある自室でリーシャもローの隣に腰掛けながら三日後の予定を立てた。
冬島が最後なので気候がガラリと変わるのは間違いない。
紙に内容を書き込んでいるとローが話し掛けてきたので返事をする。



「お前がこの前助けた海兵の記事が載ってるぞ」

「え?どれどれ……あ、本当だ」



ローの写真の横の隅に小さく載っている海兵の写真にグッと顔を近づける。
頭や身体に包帯を巻き付け、照れながら取材に応じている姿に安堵した。
彼の言う助けたという話は一週間程前の話になる。
ローによってハートの海賊団と命名された船が海軍の船と衝動した時だ。
いつも船長及び船員が戦闘をする時は必ずリーシャを閉じ込めて戦場から隔離する。
他の人間でもない、ローが。
リーシャが何かを言ったわけではない。
いつの間にか鍵がかけられ動けなくなっているのだ。
そんな時、扉の前に負傷した海兵の声が聞こえたので頑張ってこじ開けた。
海兵を中に引っ張り入れると鍵を閉め直して怪我の具合を見る。
簡単な治療をすると海兵を起こして早く逃げるように言ったら一緒にと腕を引っ張られた。
その瞬間、扉が開く音と共にローが入ってきたのであれ程肝を冷やした事はないだろう。
彼は底冷えに怒って海兵の身体を蹴ろうとしたので庇ったら更に怒りが炎上した。
取り敢えずローに事情を話すと彼は少し冷静になり海兵を見遣るとその人の腕を掴み無理矢理引っ張るので焦る。
酷い事をしないとローに約束してもらうと後は成り行きと運に任せるしかなかった。
後から本人に聞くと彼は真顔でこう述べた。



『アイツ、水浴びしたいって言ってた』



と――。
正直そんな馬鹿なと嘘を見破ったが血を流したようでもないので黙って頷いておいた。
今回はローが見逃してくれたので良かったと呟くと隣の人間が反応する。




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