07
ローの懸賞金が上がれば自ずとハートの海賊団には船員達が集まった。
北の海もあと僅かという場所で一つの不思議な出来事が起こった時の話。
最初は三人でノースブルーから始まった旅に二人の仲間が加わり、徐々に増えていき今では少人数という言葉は使わない。
スイスイと海賊のマークを刻んだ潜水艦が、水上を穏やかに進んでいた。
「なんじゃこりゃあ〜〜!!??」
そんな雰囲気の中、似つかわしくない悲鳴が響き渡る。
その発信源であるのはおそらくシャチであろう。
リーシャは部屋から出て、甲板へ出た。
「一体なんの騒ぎだ」
「あ、ペンギンくん。シャチくんみたいだね、さっきの叫び声」
「みたいだな」
お互い顔を見遣り、一緒に甲板へ向かう。
「まじかよ!」
「ありえねー……」
「でも、生きてんのか?」
ざわざわと騒がしい甲板に辿り着けば、そこはもう船員という名のやじ馬で囲まれていた。
(なにを囲んでるんだろ?)
疑問に思いながらその輪に話し掛ける。
「どうしたの?何かあったの?」
「あ、リーシャさん。実はですね……」
船員の一人が事情を説明しようとした時、先程の叫び声を発したシャチがあたふたと早口に喋り出した。
「女が釣れた!!」
「「………」」
「なんで沈黙!?」
シャチの言葉にリーシャとペンギンは困った目と疑いの目を向けた。
哀れな妄想を口走るシャチにペンギンは労るように聞く。
「それはよかったな。早く船長に頭見てもらえ」
「俺は無実だっ!」
さらりと毒を吐くペンギンにシャチは半泣きで訴える。
「うるせェぞ。一体何があったんだ」
「「「「船長!」」」」
ふぁぁ、と欠伸をするローがふらりと現れた。
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