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05
なにか他に投げかけられていたけど、次はロシナンテのところだ。

「ロシナンテさーん」

彼の自室に行き、呼ぶ。
直ぐにドアが空き歓迎される。

「おっ、帰ってきたか」

そうそう、こういうのが欲しかったんだよ。

「ロシナンテさん聞いて。帰って早々ローくんが怒ってるんです」

「あー、まァ、毎回のことだよな……」

ロシナンテは軽く笑う。
内情は激しくローを激動しているが。
誰にも知られずの心。
しかし、スライムなので掴みどころなく消える女に、仕方ないなと頭をかく。

「ちょっと付き合え」

「勿論喜んで」

彼に懐き、信頼をしているので誘われたことに心が踊る。
旅をする前も旅をしている間にも共に生きていた。
死なせたくないと願ったのだ。
彼がここに居るだけで何故か涙が出そうになるのは、謎だが。
いくらなんでも既に事件から経過しているのに、だ。

「で、なにを話すの?」

ドアをくぐり、椅子に座る。
この部屋には来客用のテーブルとかがある。
良くこの部屋には人が出入りする。
多分、相談とかじゃないかな。
なんだかんだ、年長者。
頼られることも多いなではないか。

「別にこれといった話じゃないぞ。この島じゃなにをしてたんだ」

と、聞こえたので島に来るまでの経緯を話す。
2つ目の海賊までは普通に聞いていたロシナンテ。
突然顔面を蒼白にさせて震え始める。
まるでバイブレーションのよう。

この部屋、そんなに寒くないけど……。

「ちょ、ちょちょ、ちょっとッッッと待て!」

「どうしたの?」

「どうしたの?って真顔で言うお前がおれは怖いッ」

「怖い?」

あそこの船にお邪魔するのは二度目だ。

「に、二ド!?二度って言ったか!?お前、良く生きて帰れてたなァ」

「もしかして、有名な人?」

「有名なんていうもんじゃない。有名を通り越した殿堂入りだ」

「殿堂入り……」

伝説的な?
ロシナンテはそれから、コンコンと赤髪海賊団について説明がなされる。

「魔境じゃないですかー」

「魔境に二度お前は突っ込んだんだ」

「2度あることは3度あるっていうから、あるかな」

「スライムと思われているからまだ大丈夫だが、くれぐれもバレないようにしろよ」

こくりと頷く。

「なんとか生還する」

「よしよし」

ロシナンテは詰めていた息を吐く。
とんでもない所に居たものだと緊張を解く。

メモを残してきたけど見たのだろうか。
次会う時は気を付けねば。
ホロンはロシナンテを見ながら、シャンクス以外の大物と知り合っている自覚無く、思考を回転させた。

様々な海賊や人と出会っているので誰が危なくなどと考えていない。
後に、フラグ回収されることとなるかも、しれない。


ロシナンテと別れてローのところに向かう。
そろそろ機嫌も治っているだろう。
ドアをノックして入る。
入れと言わないときが殆どだから、無言で催促している時がある。
そういうのを把握出来ないのでもう入るしかないのだ。

ーーギィ

ドアの軋む音。
ゆっくり入ると寂しさそうな背中が見える。
ソッと近寄ると同じく縁に座った。

「電話しないまま行方不明になってごめんね」

「別に。お前は船員じゃないから」

確かに居候だ。

「うん。でも、皆家族で友達だから」

「おれはなんだ」

「ん?んー……家族じゃないかな」

考えたことなんてなかったな。
居て当然な人だから。

「おれはここに居ろと言ったのに、お前は直ぐひ消える」

「旅にでたくなっちゃう魅力的な世界だからね」

「だが、必ずここに帰ってくるから許してやる」

「ふふ。ありがとう」

いつもスライムボディーを虐めるローだが、意思を尊重してくれる優しい子だ。
ナデナデするとバシンと手を叩き落とされる。
もう子供扱いされたくないのかな。
って、会ったときから態度は子供みたいではなかったけど。
遠慮なく叩き落されていた。

「家族として向かい入れてやる」

ナデナデしたことをなかったかのように振る舞う。

「私の帰ってこれる場所だね」

記憶のない私には故郷が分からない。
だから、作ってくれるローには感謝している。

「また旅に出るけど、ローくんのこと忘れたことなんてないし、今度は電話するから」

「いや、お前は当分この船に居ろ」

「ええ」

向かい入れてくれるってことは、いつでも旅して良いよってことなんじゃないの?
ことじゃなかったみたいです、はい。

うう、と落ち込みながらローの部屋から去る。
読書の邪魔だと追い出された。
軟禁されるらしい。
皆、ローを甘やかしてない?
なんだか私にばかり手厳しい。
海の上だけどスライムなら飛べるが、居ろと言われたのだから、暫く居る他あるまい。

「おい、菓子あるから食いに行こうぜ」

船員達の会話が聞こえて、私もお菓子をもらいに向かう。
この船にはコックが居るので美味しいご飯を海の上でも食べられるのは至福。

「お、シャチの情報通りだな」

「だから言ったろ」

シャチが帰還したことを吹聴して回ったのだろう。
誰かが必ず声をかけてくる。

「おかえり!聞いてくれよ!」

帰って早々、誰かに抱きつかれる。

「ロー船長、怒ってただろ」

他の人にも言われてうん、と頷く。

「めっちゃ雰囲気悪かったんだからな。しばらくはここに居てくれよッ」

懇願されて再度首を振る。
流石に音信不通だったから反省。
でも、シャンクスの船に居る時に連絡なんぞ出来ない。
凄い船だからなにかにつけてバレるだろうから。

とりあえず全員に帰還の挨拶を終えて、船の中の自室にて休む。
これで暫くは旅は休憩。

「寝よ」

体に言い聞かせるようにベッドに倒れ込む。
そろそろハマっている新刊の小説も起きたら読もう。
あの二人どうなったのだろう、と先行きが気になっていたのだ。
毎回帰ってくると必ず誰が買っていてくれているのか、本棚に入っている。
スッ、と夢に身を任せた。



***



なんだか、周りに成長痛らしき痛みを訴える人達が居て、首を等しく傾げている。
船のなんとかかんとかの名前……思い出せない。
に、居るが、ハート達面々がくるぶしが痛いとか肩が凝るとか。
それは老年しているからでは?と突っ込みたくなるような事を述べていて、ロシナンテに聞きに言ってみた。

「ロシナンテさんって幾つ?」

「もう三十路過ぎて曲がってるな」

そんな女子みたいな答え。
うーん、ということは。

「ローくんは幾つになったの?」

「確か今年で20歳だろ」

「えッッッッ!うそ!?」

驚き過ぎて小さいツがたくさん出る。
ロシナンテは感慨深そうに頷く。
傷心に浸ってる場合じゃないよ、と揺さぶる。

「こらこら、で、なんなんだ」

「ローくんはローくんでなくなるの?早くないですかっ」

「もうそんなに経つってことさ」

「うー」

なんだか納得できない。
それに、スライムの時の態度が昔と一切変わらないよ。

「なにかプレゼント考えないと」

「んー。そうだなァ」

ロシナンテもまだ考えついてないらしい。
共同にしようよ、と先手を打つ。
それなら、プレゼントで悩むのが半分だけになるし。

ローの誕生当日。
サプライズだったらしきものに参加している。
彼は相変わらず表情を変えずにいる。
良く、長年共にいたら気持ちがわかるとかいうものがあるが、私には当てはまらなかった。
分からないものは分からないってことだ。