香牙 | ナノ
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現地の国の異物を捜査する部署だと説明された。
国外なだけあって人数が多い。

「美しいものを見せてみてはいかがですか」

「見せてどうする」

「あげるんですよ」

「そんなもん持ってきてねェ」

「そうなると現地で探すまでです」

「どんなもんが良い」

「さて、そこまでは。試してみないことには」

他のやつにも伝えると良い、スマホで誰かと連絡を取る。
その間、目を彷徨かせた。
後ろからなにかを言われた。
振り向くと現地っぽい人に話しかけられたけど、異国語は知らないのでなんて話しかけられてるのかわからない。

「おい、マリク。通じてないぞ。すまないねうちのものが」

現れたのは美形に分類される男。
異国語でなにかを言い、話しかけていた男は去る。
すまないと謝った人はリィンと名乗る。
うん、キラキラ笑顔だ。

「助かりました」

言うべきことを言い、そこでおしまいだとならず、ここへは旅行でかいと話を続投。
ええ、と適当に話す。

「現地の人ですか?」

頷く男はルコルッタは中だからお目にかかれないよと苦笑する。
ルコルッタを見たことはあるのかと問いかけると少しだけねと笑みを浮かべた。
ふうん、そうか。
聞きたいことは聞けただろうに、まだ傍に居る。

「もしかしてルコルッタを回収しにきたのか?」

「いえ、観光です」

あくまで自分の理由を述べた。
リィンはそれは僭越だねと繋ぐ。

「あ、彼氏さん電話終わったみたいだよ」

彼が前を見ているので後ろを向くとローがこちらへ来るところだった。
じゃあ、楽しんでねと言われてぺこりとする。
なんというか、出来た人だ。
ローがここへ来るとどうしたと問われた。
現地の人にルコルッタは今はもう見られないと言われましたと告げる。

「現地のサツか」

「やめてくださいその言い方」

まるで自分も組織に居る気分になる。
それはそうとどうだったのだと聞くと手配したので待つと言われた。
こういう時、多人数だと楽だ。
今までの異物がらみも多人数だからこそ早めに解決できた。
ハンター協会も数の暴力の化身。
どちらもおなじなので、誰かが異物に関して文句を言っても手柄を独り占めしてるとの発言は不適切になる。
皆ので探したのだ。
異物は単品なので山分けなど出来ない。

売るしかないのだよなこれが。
で、売った先で問題が起こればまた動いて売る。
なんていうマッチポンプだろうか。
国は対応も遅いので把握しておらすなんの整備も出来ないので、ハンター協会に置いておくしかないのだ。
ドフラミンゴはその役割を狙っているのではないかと思っている。
美味しい役どころだもんね。
ルコルッタはまだ見られないにであれば観光をしたいとローに言う。
そうだなと彼は同意して二人はこの場を後にする。
またあの競り落とした人怒鳴ってるや。
あきれ果てる。
もうなんの権利もないことを誰も言ってないのかな。
いや、現地の人間が動いているので既に説明は行われているはずだし、されているが納得出来なくてここに張り付いていると推測。
タクシーで場所を変えると彼はおすすめの場所を検索でもしていたのか、スムーズに移動をする。
どこに行くのかと聞くと現地の異物を置いている施設に入る許可を得たので今から行くんだと。
なんというサプライズなのだろう。
惚れるぞ全く。
と、内心テンション高めで、ノリで思う。
言ったら受けとり次第で変な空気になる。
この男はそういう節を持つ。
下手に言うと確定として扱われる。
そんなものはお断りなので心の中で済ませていく。
タクシーを降りると綺麗な白い白亜の建物。
ここが置かれている施設なのか。
特に外からは術式などは見当たらない。
歩いて向かうとこの建物の責任者という人が待っていて、ローをハグする。
綺麗な女性だ。

「うお」

ローだけでなくリーシャまでハグされた。
歓迎を受けているみたい。
拒否されるよりかは良いけど。

「くくく、うおって言ったな」

「いや驚きますよ。初めてですよ」

「貴重だな」

こそこそ笑ってるロー。
異国式の歓迎の仕方は大胆だ、テレビで見たことあるよ。
ローはなんともない顔をしていたので慣れているのかな。
美人はとても嬉しそうに話しかけてくる。

「恋人で手順を踏んでくるおれ達を楽しみにしていたらしい」

「恋人ではないので訂正しておいてくださいね。それよりも早くみたいです」

通訳するように足す。
彼は口角をにやりとさせたままぺらぺらと話しかけた。
どんな勘違いを。
なんでもかんでも勘違い。

「異物となると毒舌が加速するな。いくらおれでもそこまでじゃない」

呆れた目ではなく、普通に真顔だった。
しかし、そんな男に目など関係ない。
そんなのは彼方より先だ。
どんな異物があるのだろうとローを足す。
彼女も目に入らぬように案内をする女は嬉しそうに「彼女は余程異物が好きなのね」と告げ、ローは専門家でもあるんだと説明。
本も出版していて知識は豊富なんだと笑う。
女は色気を出す男にふうん、と興味深くリーシャを見た。
どこか自慢げに言う男に案内人は彼女へ話しかける。
言葉が通じないので通訳。

「そんなに異物が好きなの?」

「好きですよ」

早く見せてくれと目が語る。
それにくすくす笑って喜んでと異物の保管所へ。
特殊なものが施されているので触らないようにと再三言い募り、漸く通される。
既に話や金を積んだんだろうから、説明なんていらん。

「ほお」

思わず嘆願する。
やはり祖国よりも術式の安定性が上だ。
これなら国の異物の対策も先を行っている。
ルコルッタ回収も時間の問題だな。

「あれは、青龍恋々ですか」

「あら、マイナーなのに知ってるのね」

「知ってるもなにも、一見地味ですが能力は汎用性があるんです」

青龍恋々は竜が恋をしたが寿命の問題で泣く泣く恋心を封じた、なんて逸話のある品。
周りを見回すとあるものに気付く。

「クリモアがあるじゃないですか。あれ、今回のルコルッタに応用できますね」

「なに、それは本当か」

ローが一番先に反応している。
あとは専門家とやらが勝手に回収するんだろうとローが女の人に話す。
女の人は首を傾げてタブレット端末を動かす。
そこに異物の詳細があるみたいだ。

「特にそんな記載はされてないのだけれど」

「といってるが?」

ローはどういうこだと眉をキュとする。
それはこっちの台詞だ。
異物を研究している人はサボってるとしか言えんぞ。
なので、呆れた目を女に向けて講義を行う。
説明を終える頃には女が絶句していて、慌ててこちらへ来てと手を引かれる。
やられるままに足を無理矢理動かすと反対側から引かれる。
ちぎれるんだけど。

「待て、勝手に連れていくな」

ローは怒気を乗せて牽制。
女はあっ、と発し謝る。
今の言葉が本当ならば検証しなくてはと言われ、自分が行く必要はないだろうと拒否。
お願いと胸を押し当ててくる。
女に色仕掛けとは強気ではないか。
ふむ、嫌いではないなと少しかんがえて良いでしょうと笑みを微かに浮かべた。
色仕掛けで思い出したこともあったのだ。

「お前女が好きなのか?」

「トラファルガーさんはお嫌いなのですか?」

「異性に聞くことじゃねェだろ。陥落されてどうする」

「陥落されてませんよ。なんならトラファルガーさんの色仕掛けにさえ引っ掛からないのに」

「色仕掛けした記憶なんてないぞ」

「無意識ですか?これだから天然ってやつは」

ローがグッと押し黙り女にベラベラと訳す。
変なことを言ってないと良いが。

「来てくれと言われてる」

「では行きましょう」

「おれもか?」

「おや、私を一人にするのですか?」

びっくりだな、とローへ笑いかけた。
急な笑みになにかを感じとる男はリーシャらの後をついていく。
今回使用される異物はもしかしたらローの中に巣くう者をどうにか分析出来るかもしれないと感じて、彼も巻き込むことにした。
彼としてはいつも誘わない己が同伴を望んだのは珍しく、従うことにしたのだろう。
とある扉の前で待っていてくれと言われ、二分くらい待って出てきた案内人は許可が降りたわとニコニコする。
少し動揺したのをリーシャは感じ取った。
野生のかんである。
ローはまさに動揺したからこそ付いていったのだ。
野生のかんも侮れない。
実験室までつれてこられて、早速行われる。
なかなか見られない珍しい体験が見られるので、良い旅行だ。
来て良かったかもしれない。
ルコルッタも見られないかもしれないと思っていたし。
実験の結果初めてみる検証がなされ、ルコルッタへの運用を許可されたらしい。
万が一の時に対応できる人員も寄越してくれるらしい。
流石国外、至れり尽くせり。
移住したくなる。
ローが案内人の女性と話している。
ローと良い雰囲気を感じた、怪しいな。
こっそり二人を見てから、ここからは一人で動いた方が良いのかもしれないなと思案。
しかし、通訳が居ないと困るな。
二人きりにさせるのは夜だなと頷く。
そして、三人は同じ車に乗って向かう。
現場につくとリィンという男も居た。
ここの担当なのだろうなとローは呟く。

「あっ、貴方は!」

現地の警察の男性がこちらへ駆け寄ってくる。
が、目の前に来る前にローが自分より前へ来て止めた。
リーシャの方に目を寄越したが、ローに阻まれる。
視界いっぱいにローが入ってくるので苦笑している。

「はは、警戒されちゃってるのかな?」

向こうがこちらに分かる言葉を述べるのでローは無遠慮にああ、と素直に答えて更に困った顔をする。
しかし、話が続かないのでローに退いてもらう。
彼を前から横にやって彼へとう。
どんな調子だと。
一番事件の近い男だ。
案内人は男が警察の人だと知ったので異物での対処をすると説明すると彼は驚き、それは良いと喜ぶ。

「早速試してくれないか」

上へ仰がなくてもいいのだろうかと首を傾げた。
無責任に許可を出すのはどうだか。
案内人も許可を出されたのを聞いて、早速他の人達と向かう。
近付くと相変わらず人を寄せ付けない障壁がある。
一体なにを阻止したいのか。
醜い感情からかもしれないし、買われるのが不本意だったのかもしれない。
ルコルッタにしか分からないので誰にも分からないのだ。
寄せ付けたくないのなら無理に入る必要もないかもしれない。


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