香牙 | ナノ
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学校から登校するように連絡を受け、病院にも行くので保険証をと言われた。
長い間待つことになるだろうと思われたがクラスを分けて日を違う日にすることによって、混雑を避けるという日程になっている。
それにより、思っていた程待たなくて良かった。
簡単な検査を受けて吐き気はないか、などと後遺症を前提とした質問を受ける。
今でもひっきりなしにテレビでは学校で起きた事件を取り上げられていてネットではゲームや漫画のような事件だと取り沙汰されていた。
人の生き死にをそう取られるのなんて今に始まったことではないが、当事者である分複雑極まりない心境。
それにしても、テレビにはローの事がなかった。
生徒達の証言という関係者のことはヒーローのような扱いを受けているのに、本人のプロフィールは一向に出てこないのだ。
テレビの業界の人は彼を姿なき英雄だと褒め称えていた。
ええ、本人があの事件の裏でなにをしていたか良く知りもせず。
女子を連れ回していた件について誰も突っ込んでくれないってなんだそれ。
生徒達はそこまで余裕はなかったんだろけどさ。
でも、英雄の隣にちんまい女がいたことくらいは覚えていると思うんですけどね。
それよりも記者は英雄を撮りたいんだろう。
ちやほやされたいとも思わないけど、捕まえるのに協力したのは事実だ。
まるで男一人が成し遂げたみたいに言われると、やる気をなくすってもんだ。
一人でも嬉しかったと言えないのか。
それとも、運動場の陣は落書きにでも見えたのかな。

「早く終わんないかな」

「ねー」

どこからか声が聞こえている。
皆同じことを言うのに、何故また言えるのか。
言うけどね。
リーシャとて後遺症が怖いから来てるのだ。
皆も怖いから拒否をしない。
早く終われというのは恐怖の裏返し。
怖い結果になるかもしれないからその気持ちが早くなくなってほしくて口をつくのだ。
あの事件からまだ日が経過してないので今でもひっきりなしに学校へ電話が鳴るし、学校付近には野次馬と新聞社等が押し掛けている。
只でさえまともでないことがあって、学校全体が疲弊している。
しかし、追及を緩めないからいつまでも休めないという悪循環。

「次の方」

呼ばれて検査を受ける。
うう、バリウム飲むのか。
流石に嫌だったが検査の為だと我慢。
口の周りにはぺとぺとした感触があって、なかなかとれない。
今日一番の印象が深い思い出となった。




学校行事扱いとなった病院からの帰宅後、ゆるりとココアを飲んでリラックス。
猫を撫でくりまわし、嫌がるまで撫で続けた。
爪を立てられても今日は我慢するので離さなかった。
ぺいっと足元へ飛んで一目散に端へ逃げていくのを横目にハムサンドをいただく。
チーズも入っているので濃厚だ。
もぐもぐとランチタイムを楽しんでいるとテレビからは連日報道されっぱなしの事件が耳に入る。
正直見飽きている。
発端となった女の赤裸々な情報はいっそホラーなものを感じてしまう。
そんなに放送しては罪を償っても周りが知り尽くしているので許さないかもしれない。
毎日のように聞く内容は事件の真実と名を打ったものがある。
学校が異界になったのは本人の意思ではない。
人が異界を産み出すには意識があると発生しないのだ普通は。
では、なぜ女が学校に居たのかということに関しては男子生徒が年上の女と付き合っているというステータス欲しさに弄んだと、まとめてしまえばそれが理由らしい。
男が死んで尚、また学校へ来たことに対する質問は覚えていないだった。
男を手にかける前から異物を飲み込んでいたかもしれない。
男が氷付けになったのは意図してなかったと供述している。
そりゃそうだろう、今まで使ったことのない能力がいきなり開花して発動してしまった、暴走したのだ。
本人も実際凍らせようとはしてなかったのではないかとリーシャは考察。
凍ってしまったことは覆せず、記憶をなくしてたどり着いた先の学校で異物と共鳴して異界化を発生させた。
それなら、捕まえるまでになにもせずじっと立っていたのも頷ける。
暴れて被害が広がっている可能性もあったので、被害を受けずに済んだことは幸運であった。


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