香牙 | ナノ
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そういう機微について理解してもらえないのは、ドフラミンゴもローも率いる方だからだろうな。

「遠慮というのが人には備わってるんです」

「くく、おれには備わってないってか?」

そんなことは言ってないのに自ら述べるとは自覚ありですかな。
遠慮は確かにない人だろう。
女子を現場に行かせたりするもん。
行きたいなんて言ったことはないのに問答無用に引き連れるから。
今回は例外に傍に居たけど、本来なら部外者として見ているだけの立場だったのだ。
それで良かったのに。
リーシャの陣がなくても相手を捕縛出来たと分かっている。

「ほら、ついたぞ」

お洒落なお店が目に入り、場違いだなと空虚に笑う。
制服と和風の服装で二人はデコボコだし。
特に制服なんて目立つだろうに。

「個室を予約しておいた」

「そう言って男は女を連れ込みましたとさ」

「連れ込んでねェだろ。腹空いてるんだ、早く降りろ」

「へいへい、了解です」

「お前、態度から想像できないようなギャグかますよな」

「良く親父臭いと言われましたね」

「確かに歳よりっぽいな」

おいこら殴るぞ。

「私と二歳しか変わらないのでは貴方も歳より組になるんですけど」

「ならドフィも余裕だ」

ドフィにぶっ飛ばされないかその言葉。

「私は言ってませんから。殴られるんならトラファルガーさん一人の罪です」

なんだそれ、とくすくす笑いながら店に入る。
中へ行けばカウンターで予約していたと告げて直ぐに個室へと通される。
高い店みたいで店員の質が他のと違う。
全てが洗礼されておりこちらが気後れする。

「メニューないんですか?」

「ここはコースのあるもんしかない」

「えー」

「個室だからマナーとかは気にするな」

「えー」

「デザートとキャラメルペンネルだ」

「えーなんですかそれー」

「おれも知らん」

知らんのかい。
おすすめした癖に詳細知らないとか教えてきた意味が無さすぎる。
あと適当。
料理は直ぐに運ばれてきた。
予約するときに直ぐに行くと伝えたので用意されていたのだという。
暖かなご飯にいただきますと手をつける。

「あー、柔らかい」

お肉料理はホロリとなって噛む動作を必要としない。
野菜はしゃきしゃきしている。

「お、野菜は食えるんだな」

「む」

心底子供扱いの発言に心外ですと返す。
リーシャの知識では好き嫌いというのは大人も子供も関係なくあるものだ。
ローにも弱点があるのだ絶対。

「スマホで写真は撮らないのか?流行ってるんだろ」

「そういうのはしてないです」

「流行乗り遅れるのは致命的だろ。ハブられてるのか」

「うーん、うちはそういうのはないです」

そもそもグループが違うと説明。

「おれに寄ってきた奴らみたいなのはやってそうだな」

「偏見と言いたいですが、彼女達じゃなくてもしてますよ」

「調査ファイルが薄い理由だな」

「まぁ、ああいうのをしていると調査しやすいですよね」

「自分達で履歴書を見せてくれるからな」

やっぱり。
甘く味付けしている大根をぽりぽり食べて言う必要のないものを飲み込む。
そういう裏話はこちらへ寄越さないでほしい。
暗にこれからも巻き込ませて貰うぞとしか読めない。
そんなのはお断りである。

「異物関連の事件には今後同行しませんから、そこのところ良く良く覚えておいてくださいね」

「考えておく」

「いえ、私はイエスのみしか受け付けません」

考えておくって巻き込むと明言してるじゃないか。
全くこの男は大人げなさすぎ。
ため息をお茶と一緒に流し込み、ぽつぽつ会話を絡めて食事を楽しんだ。


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