他の生徒かと思ったが音が可笑しい。
鞄などなら擦れる音なんていうのはあるが、ガチャガチャというものまである。
「異界ハンターどもだ」
「まの悪いこと」
少ししてお互いが出会う。
向こうは少年少女の混合だった。
しかも、同じ年に見える。
随分と若手だ。
「おわ!民間人!?」
「当たり前でしょ、ここは学校だし!」
「あれ、でもなんか服装が」
何人もいて、そのうちの一人が指摘して全員がローに注目する。
「ハンター見習いか……それなら簡単だな」
ローが一通り見てから終わる。
「ハンター見習いがなぜここに?なぜ正規ハンターがついてないんです?」
ハンターの本も見たことがあるが、正規と認められるまでは大人がついているのが基本だ。
「ねぇ、ネクタイの色。先輩じゃない?」
こちらを見た子が言うので当たり前の事実を単に口にされただけ。
「それより、隣の人」
「お前らと馴れ合う暇はない。質問には答えん」
ローはリーシャを伴い隣を通る。
そのおり、リーシャだけが手を掴まれる。
先輩というのだから彼らは幼子だ。
「なんでしょう」
「先輩ですよね?」
制服に武器という歪な装備で問われて簡単に答えるほどのんきではない。
「それとなんの関係があるのですか」
「ここは危ないので教室にいててください!」
「ほう」
目を細めて、新人ですらない子らを観察する。
大人の居ない見習いハンターに指図されるとは。
どちらかというと見習い達の方が規律を犯しているのではないか。
「貴方達だけですか?大人の方は」
そう質問するとぎくりという分かりやすい反応がくる。
いっそ清々しいくらいの答えだ。
「あ」
手を振って相手から離れる。
ローが待っていてくれているところまで寄るとまた歩き出す。
しかし、後ろから見習いどもがついてきた。
「寄生か」
「最悪ですね。全滅しましょう」
「少なくともおれの台詞だろ」
「じゃあ、窓から飛び降りてもらいます?」
「台詞の問題じゃない」
「ついてくるなど、いかにハンターとはいえ、ね」
「同感だが」
「それに、異物をまともに外へ持ち出して売れるのか疑問です」
素人が知識もなしに持ち出せない。
持ち出す前に手を出して取り込まれる事件もしょっちゅうだ。
「それもそうだ。その経過を見ていくか」
「悪趣味ですよ。別に良いですけど」
「横取りにおかむりか?」
「そんなもんじゃありません。人のものをかすめとれば誰だって怒ります」
むかむかしながら断言する。
「殴りたいです」
「異物バカだな」
「貴方だって好きですよね」
異物バカと言われて内心当然だなと背中をぴんをさせた。
途中までついてきていた子供達が異界の空気にやられて倒れた。
って、対策してなかったんかい!
未熟だったのだなと冷たい目で見てから放置して進む。
やがて、外へ出て女がまだボウッと立っているのを確認すると手を合わせる。
異物と関係なく怪異を引き起こした元凶は人柱となって命をエネルギーに異界を引き起こすので、異界が晴れてもその人が生きている確率は低い。
命を燃やしつくしている。
「律儀だな。そんなところもポイント高いぞ」
なにを女子みたいなことを言ってるんだ。
ポイント高めとかスイーツにでも評価していれば良い。
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