ドフラミンゴのいきなりの言動に目をぱちくりさせていると、ローがドフィが気に入るのも当然だなとニヒルに述べた。
いや、二人で完結しないでこっちにも開示してくれ。
大盛り上がりのドフィことドフラミンゴは笑い終えると口が割けていないことが不思議だ。
大口開けていたもん。
あと、女子を前に置いてけぼりだ。
やっと静かになる周りにドフラミンゴが顔合わせはやったことだしとリーシャをカフェに誘う。
「ええ」
「おいドフィ、こいつ嫌がってるぞ。お前、前と言ってることが全然違うだろ」
ローに説明するときにポジティブに紹介したような口で話されて、ずいぶん好意的に言ったんだろうなと目をすがめた。
大方、ダメおじさんというところか。
ローもそれなりに若そうだ。
感化されていないので人望なさそう。
「ドフラミンゴさん。私の個人情報がもれてます。そんなことでは話せなくなりますよ」
「そいつは困るな。ところで、水蛇の破って知ってるか嬢ちゃん」
「水蛇……確か、村を水没させた水女のことでは」
「さすがだなァ」
「へェ、ドフィの気に入る理由が見えた」
「気に入られるのは嫌だな」
ボソボソ。
それにしても薮から棒になんなのだ。
狼男の話なら分かるが、水女の話しなんて。
雪女から派生した都市伝説だ。
それに追随するのは雨兎という動物だ。
生き物ではなく異物に分類され、兎が通ればどしゃ降りなのだと言われている。
雨属性に縛られており雪と同じく水に関係して異変を起こす。
というのが諸説ある。
あくまで書物の知識なので書いた人の知識に片寄るのでもしかしたら存在しない異物もあるかもしれない。
読み漁ってるんだけど結構かぶるのだ。
怪訝に感じているとドフラミンゴが水女たる蛇が出没するようになったらしい。
タイトルにするなら都市伝説が現代に現れた、とかになるくらい眉唾。
「へえ。もう行っても良いですか?」
「信じてねェな」
ローがくくく、と笑ってこちらをからかう。
バカにしないでもらいたい。
信じてるっつうの。
「待て待て、まだ続きがあるんだよ」
ドフラミンゴが止め続ける。
仕方なしに冷たい目で見続けてやる。
くじけないところがこの人だ。
大人げなく骨董品を黒いカードで払い持っていくだけはある。
「ニュクスと水女が合わせて使われてるらしい」
「ニュクス……怪異を真っ暗にするというものですね……えっと、別に懐中電灯でもつければよいのでは?」
「ニュクスも知ってるのか」
ローが転目。
そこまで驚くことかな。
知ってる人は知ってる知識だとは思う。
逆にそちらが知ってるんだから聞く必要を一切感じない。
質問が厭らしい。
「いい加減に行きたいんですけど」
「分かった分かった。嬢ちゃんに良いもん見せてやろうと思ってな」
「くれるんですか。嬉しいです」
「すごいなドフィ」
「ああ。スゴいだろ、ロー。見習え」
冗談に決まってるだろ。
二人してこっちをおもちゃにすんなっての。
「車の中にある」
「そう言って男達はいたいけな女を車に押し込め白昼堂々誘拐を成し遂げたのである」
「押し込めないから見にこい」
ナレーション風に言うとドフラミンゴのさす方向へ転換して車へ向かう。
どんな異物があるんだろう。
車からローが出してきた。
というか、黒塗りの車とか目立つな。
いかにもブラックカード保持者はやることが派手で無駄な派手さだ。
もっと普通の車で来た方が目立たないのに。
ああ、目立ちたいんだな。
「流石に見ただけではわかりません。なんなんですこれは」
「フフフ、リーシャちゃんでも見たことがないのは当然だ。これは300年前に水の中に水没したところから引き上げられたもんさ」
「さ、300年」
流石にそこまで古い異物が現代に残っていたなどとは驚きだ。
しかし、異物は古ければ古いほど危険。
「これはまだ調査中で、レプリカだから安心しな」
「ドフラミンゴさんわざと怖がらせましたね。豆腐の汁にまみれて下さい」
「そこは豆腐だ!だが、豆腐を通り越してそのしたに激突することで負傷はするよな、ロー」
「おれに聞くな」
「秘蔵っ子が引いてますよドフラミンゴさん」
「フフフ、おれは寛大だから良いんだよ」
「寛大な人は金欠に悩む女子の前で物を持っていきません。断固否定します」
抗議した。
prev next【02】