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ローが向かったのは病院だった。
ここには、前の時に公務員の勤める施設を襲った者たちも居る筈。
それに、今は魔法が使えなくなっているので、腕を再生させたり、回復を瞬時にさせたりすることは無理となっている。
所謂、奇跡の術が行使出来ぬのでアナログな方法で治療されている。

「う、ううう」

医院の中では聞いたことがない、痛みに呻く声がところ狭しと聞こえてくる。
思わず、当然の帰路ですわねと頷く。
コルネリアとて、怪我を負うと直ぐに治療出来なくて病院に行くまで痛いのに耐えなくてはいかなかったのだ。
それを全人類が味わっているというだけのこと。
いつものことではないかと大袈裟にいたがる人間達を吹雪の如き瞳で眺めている。
痛い痛いと痛みに慣れていないので一際痛覚が襲うらしい。
そんなことは置いとき、働くナースや医者達がせかせかと慣れない方法での治療を施している。
その度に医者なんだからさっさと治せと罵倒する患者たち。
疲労していく身体と心に医者たちは全く目を向けない。
日々、罵倒されているのだと一目瞭然。
そりゃ、見向きもしなくなるわけだ。
助ける心も失いかけているのではないか。
コルネリアならほっぽって適当に出歩く。

「あら、産みの親が近くに居るのね」

そういえば、民衆にボコボコにされてた。
今までそのことを綺麗に忘れていたのだ。
お見舞いでもここは行ってあげたら良いかも。

「ねぇ、ロー」

「あ?」

「親が居るから行ってくる」

「居るのか」

「公務員の仕事先で怪我したらしいわ」

「公務員だったら対象になりやすいしな」

ローはここで眺めているというので一人だけ親の居るベッドのある部屋へ向かう。

「集中治療でもされてるのかと思えば、そうでもないのね」

既に普通の部屋に移されている。
カララ、と手動に成り下がった扉を開いておじゃませてもらう。

「失礼します」

病室に入ると顔面がボコボコで全身包帯だらけの物体が吊り下げられた状態で固定されていた。

「まあ!……どなた?」

ネームプレートを見ると確かに親の一人の名前ではあるのだが、顔面崩壊をしているので合致しない。

「うぎ、うぎぎぎぎぃ!?」

頬も余程傷付いているのかもごもご言って言葉を話せていない。
ボコボコにされたからそんな感じで動けないほどだろうとは予測していた。

「なにに驚いているのかは分かりますが、そんなのはとっくに関係ないのよ」

うっすら笑って過去の回想をする。

「ああ!やっと!」

ふるふると高揚感にうち震える。

「やっと……私の番が来たのねっ」

りんごのように真っ赤になる頬を緩く押さえる。
第一の復讐を行える喜び。

「私を好きにしたのだから、貴方も好きにさせられる覚悟は勿論あるのよね」

親はその発言に文句を言っていた口を閉じた。
文句を言われてもなにを言ってるのかは不明なので聞き流すことくらいどうってことない。

「アホだから分からないのでしょうね、愚かな人間のクズ。貴方は私に手を出したのよ?許されない大罪。よって、私自ら手を下す為に参上いたしました」

どうしてやろうかと思っていると、コルネリアは色々考えてきた中で良いアイデアを絞り出す。

「ふふ、そうだわ」

他にはなにも言わず病室をあとにする。
その後、病室からは絶叫が聞こえた。
妖精を産んだ存在となれば豊富な種類の魔法を知っている。
その中で、腐り落ち、ずっとヤスリで生身を削られる痛みを常に感じる魔法もあるのだ。
それを親にかけた。
どちらともだ。
ショックで死なないように加護をつけておく。
救いすらも、解放もされない。
これを一週間くらいかけて様子を見に行こう。
俄然、気分も最高に良い。
今までやられっぱなしだったのだ。
漸く引導を渡せる。
ただ、魔力がないだけの理由で人類の営みから弾き出した人類は連帯責任。
このスタンスは一ミリも変化しない。
なので、ギルドの受付にもプレゼントを渡す。
話せなくなる魔法だ。
受け付けは言葉によってこちらを不快にさせた。
なので、道理。
魔法はもう使えないので、その現象が魔法によるものか、なんの魔法かを知ることは出来ない。
唯一の魔法が使える国に依頼すればわかるかもしれないが、高い金額を払うことなど無理だろう。

ローが隣にやってくる。
刻々と壊れていく祖国と周辺国。
なくなったものを求めて呻き声をあげる。

「ギルドに要請が来た。どうしたい」

「私に聞くなど無意味ですね。当然見捨てます一択よ」

王族が1日以上遅れてローの存在を知り厚かましくも指名をしてきた。
断ると端的に述べれば男はくつりと笑い、とても楽しげにこちらの反応を見る。
男の方こそ受けるつもりなどなかったのだろう。
聞くなど意地が悪いとしか言えまい。
しかし、こちらも最初から助ける気などさらさらないので破滅していただく。


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