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元両親はどこに居るのかと探れば、テーブルに隠れていた。
エンターテイメントの甲斐がない人達だなと鼻で笑い、わざとテーブルの外に弾き出す。
きゃあだの、ぐ、だの呻いているが、外に出たことにより襲撃者達のリンチに合う。
ボコボコにされている。
そして、心の声をあえて読む。

(どうして私がこんな目に!)

(ぐわ!いてェ!)

散々、後悔と痛みにあえぐ。
どんなに言葉をかけようとしても人々の興奮で誰にも伝わらず、ひたすら暴行を受ける。
うん、たくさんコルネリアにやってきたことだから自業自得。
言葉も容赦なく、何度この人達の本当の娘ではないのかもしれないと思ったことか。
残念なことに正真正銘本物の親だ。
しかし、産みの親というだけだ。
それを盾に子を虐げるなど家畜以下。
にんまりと悪い笑みを浮かべてその光景に見いる。
終わる頃には男の方は手と足、あばらのヒビ、女は全身打撲に頭皮の髪が一部抜けていた。
素敵になった。
鏡を今直ぐ渡してあげたくなる。
警察が来たのはそれから30分後。
他にも各箇所で暴動やら混乱があるのだ、忙しくて目が回るだろう。
警察が来るやリンチされていた人達と民間人達を引き離す。
人手不足なのか、警察の人数が少なく民間人達を抑え切れていない。
結局、事態は民間人達の鬱憤を張らすまで終わらず、2時間も経過。
民間人の中で破片で怪我をした者も居たので少なく済んだという結末。
もっと長く暴れられというのに、自分達で短くして、お粗末な襲撃である。
単に鬱憤を晴らしたいが為、自分勝手な理由だが。
ローは明日に来るというので余興は残しておいた方が共に楽しめるか。
そう思い、それ以上なにかしようとしなかった。
明日、お楽しみに取っておく。
この国に思い入れなどない。
あるのは消えてくれと言う願いのみ。
自身の魔力を糧に栄えてきた場所など一片の塵すら残さずに滅びろ。
どうして栄えさせた本人を懐柔し、喜ぶのだろうか。
愚か者どころの所業ではない。
お楽しみは残す為に、余興を彩るのも楽しそうだ。
笑みをうっそりと口元に。
妖精を一人、呼び寄せて命令。

「王族に10000分の1程度の魔力を使えるようにして」

かしこまりました、と言いその場から消える。
長年、魔力を運ぶ媒体として生きてきた妖精に恨みもなく、責めることもしない。
彼らは自分に従って動いただけだ。
情弱になった人達は日々、いきる為のエネルギーでさえ魔力で補っていたので、そろそろ起き上がるのも辛くなっていくだろう。
もっと見ていたいので、延命のために人間には魔力を永遠に渡さないが、空気中に動けるくらいは混ぜておく。
でないと、寸劇を見られないから。
もっともっと、見せて欲しい。
魔力を持たないとあれほど醜くなる世界を。
ここまで来たのだから、最後まで抗って欲しい。
コルネリアの精神は今や妖精の方が多い。
同情も不憫も感じないのだ。
謝罪も既に手遅れ。
自分の好きなように過ごすだけだ。
町中を歩く。
どこもかしこも混乱した人間が騒いでいる。
そのエネルギーはどこから来ているかもしれず、無駄に消費している。
どうして、答えのないことをしているのか。
もう少し静かに出来ないのか。

「ギルドに来てしまった」

目の前にお馴染みの看板がある建物。
今までほぼ無関係にあったと施設だ。
なにか面白味のある依頼はないかと、しずしずと中へ。
中は結構賑わっていた。
魔法が使えなくなり仕事が出来ない人たちだろう。
アナログな仕事が直ぐに見つかるわけもなく、屯している。
そこを掻き分けて進むと掲示板を見る。
Fランクなので、Fランクの依頼の掲示板を見ていく。
やっぱり、あるのは討伐系や、魔力失の調査。
軒並み、唯一残った国と変わらない。
この国で生きるにはもうアナログしかないのだ。
なにかしようとしたが、明日以降にしようと気が変わった。
どうにも、達成してしまうとこの国の手柄にされそうだ。
今は秩序もない。
ローが居ると高ランクなので、滅多なこともされまい。
早々に見きり建物を出た。
国籍の移した唯一の魔力を持つ人達が集まる国に戻り、仮眠。


その後は適当に町中をうろついて、混乱のない町に流石だなと感心。
それに、この国だけが魔力を残しているので仕事が溢れている。
自力で会得された魔力までは取れない。
妖精を媒体にしていないので、魔力は切り離されている。
妖精の王として、かなり興味深い進化。
じっくり観察させてもらおう。
ギルドに寄り、依頼を見ているとこの国に移住をしたいと言ってくる人達がいるのでそれを阻止して欲しいと言うものがあった。
確かに、人が押し寄せてくるな。
結界すらも維持出来なくなったので町中に魔物も入り放題。
自分が今いる国は入られてはめんどくさいので一応は張っている。
一々騒ぎになるのも煩い。
すとん、と歩いていると前方から見覚えのある人がやってきた。

「あ、コルネリア〜」

小さな子供、名はルフィ。

「これ、ルフィ。いきなり走るでない」

慌てて止めに入るのはルフィの妻と自称して憚らない女性、ハンコック。
ハンコックとルフィの年齢的に仄かにあれだが、ハンコックが怖くて誰もなにも言えんのだ。

「ルフィ、ハンコック、お久しぶりです」

「おう」

「お主、見ぬ間に」

ハンコックが魔力の有無に気付いたようだ。

「お陰さまで。周りに鍛えられて開花させられました」

虐げられて覚醒したで。
凄く皮肉だ。


03