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今、故郷の家の前に立っているのだけど人の気配がしない。
働きにでも出ているかな。
皆魔法が使えて平民なのにエリートぶってたから今回のことで混乱し、魔法使えないまま仕事に行くところを想像してくすくすと笑う。

「まあ、惨め……」

散々魔力なしだのと罵ってきた人。
現在、魔力がなくなり形成逆転をしている。
そんな者達を正々堂々嘲笑える人生、乾杯。
やられたらやり返す。
向こうも恨まれるには十分なことをしてきたのだ、では恨むとしよう。
こけにしよう。
まだ混乱している中、国を動かすには働かねばならない。
平民である親の仕事は公務員で、高等な作業とやらをしていた。
自分は魔力なしなので何事も手作業なアナログ。
今さらこの国でアナログな作業が出来る人など居ない。
魔法で転移して飛ぶと親の勤め先へ。
公務員施設だからか事態を把握したい民間人達が扉の前で騒いでいる。
魔法が使えないのでどちらも素手で攻防していた。
民間人の方が多いのでこのままだと負ける。
がしゃんと窓が割れる音と中の人が叫ぶのは同じく。
ガラスの破片を踏み鳴らして押し入る民間人達はガラスの残った鋭利な部分で皮膚を割いてしまう。
今までは体を魔法でコーティングして傷つかなかったのでそのことを忘れて接触させた。
ぎゃ、という声と痛みを訴える所を見せていただき、大変にっこり。

「自分等が怪我をしたのになにを突っ立ってるんだ!?早く治せ!」

「痛い!税金払ってるんだ、治療しろっ」

自分達で割って入った癖に元気な怪我人だな。
喚く体力を余らせているのならもっと別のことに使えば良いのに。

「警察はまだ?」

公務員達は遅い警察にイラついている。
いつもなら魔力で動くバイクに乗り、あっという間に到着する。
けれど当然徒歩だ今は。
乗り物もすべて魔力で動く仕組みで、レトロなバイクなど誰も既に使ってない。
昔から魔力持ちしか居ないので、魔力がなくなった専用の乗り物など存在しない。

「魔力がなくなったのを説明しろ」

怪我をしながらも言うことを言う人達。

「そんなの知るか!出ていけ犯罪者ども!」

暴動を起こす人達にキレる面々。
確かに、いつなにをされるか分からないのに説明しろとかやれるかってね。
しかし、襲撃してる人達に冷静と言う文字はないので激怒。
なんだと税金泥棒が、と言い合い。
いつか殴り合いになるな。
というか、絶対起こるよね。
わくわくな気持ちとわくわくな気分とで観戦していると、役員に掴みかかる人が一人。
周りの熱に浮かされて耐えられなかったのだ。
一人がやってしまえばあとは乱闘。
おら、とバキッと鈍い音と共に殴られて横にぶっ飛んでいく役員。
殴り返されて地面に落ちる一人。
全員が参加しているわけではないが、テーブルの下に隠れてない人はほぼ強制的に参加だろう。
魔法が使えないのでそもそも肉体的に強いわけではないから、素人同士の喧嘩。
今までやってこなかったから殴られてもそんなに強くないけど、殴られることもないから痛みはそこそこ強いだろう。
きゃあ、という女の悲鳴も騒動に飲み込まれて今や男達の声ばかりが聞こえる。
そうそう、普通は混乱したら町中がこうなる。


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