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ローとの会話を経てそれから一週間、とある準備のためにローと会うことなく過ごす。
忙しかったのだから。

「あら」

新聞に〜国崩壊と書いてあった。
そうか、崩壊したのか、生まれた場所が。
税金を上げたりと悪手を地で這い擦り、身を滅ぼしたらしい。
あのわがままみたいな王女様が失言しただとか書いてあったが、その程度で崩壊するわけもなく、要因など腐る満ち溢れてた。
一度腐ったものは元に戻せまい。

「準備が無駄になったかしら」

さらり、と髪を耳にかける。
新聞を読んでいれば、前からかたりと音がした。
前方を見ずとも椅子が動かされた事を察知していた。

「お預けをこんだけ食らうとは流石に予想外だったぞてめェ」

「それはごめんなさい。結構色々捗ってしまってね」

「捗ってってなにしてたんだ、おれを放って」

結構気にしていたんだな。
うん、可愛いかも。
年上目線から染々感想を抱く。

(そういえば告白されたのだったわね)

思い出すこともあったが祖国をどうしてやろうと日がな一日考えていたし、準備も案外順調過ぎて忘れることも多々。
この準備を違う所に活用しようかなと会話をしつつ、そう転じた。

「貴方はなにをしていたの」

一週間の間、妖精達に情報を集めさせてはいたがロー個人の事は抜けていた。
やはりそこはあまり知りたいとは思わないし。

「竜族の様子が変だから見てこいと言う依頼があって、それを審査して受けようかと思っていた」

「あ、それねっ」

それとはなんだと首をかしげるとローにふふふ、と笑う。
久々に冒険らしい冒険もしたくなった。

「私も同行して良いかしら」

「別に構わないが、楽しくないかもしれないぜ?」

「構わないわ。モンスターを狩りたくなったの」

「竜族は刈るなよ」

「さてね、向こうの出方しだいね」

弱肉強食だ。
それをよくよく教えてくれたんだから、それに、竜族は強さに重きを置くと聞いている。
相手の態度次第であろう。

「戦闘好きだなお前も」

何年か前まではこんなに好戦的ではなかったがなと内心押し込む心情で吐き出され、男は女に目を細める。
別に美貌で惹かれたわけではなく、昔からの感情をもて余していたのに、色気付いたので危機感を覚えてしまった。
あんな失態をと作り出したがああまで翻弄されるなど。

「良いぜ」

勿論、二人で旅が出来るのならば嬉しいので許可する。
誘おうとしていたが、竜族関係なので興味がないかもしれないからと少し遠慮していたのだ。
遠慮していた理由は告白して振られるのが嫌だったからだけ。
それだけの理由なので向こうから言うのならばわざわざ言い出さなくても済んだ。
上機嫌に笑う男を女は満足そうに見た。
コルネリア達は早速準備をして向かう。
こういう手軽に出掛けられる相手がいるのは楽だなと妖精王は感想を抱いた。

「見えてきた」

馬で向かい、徒歩で行き、途中で転移も使う。
最短だ。
恐らくここまで早く行ける者もなかなか居ないと思う。
精霊王の記憶では違う世界に凄く便利な乗り物があるみたいで、それを実現させたらここまで面倒なこともなくなるかもしれない。
竜族の依頼について詳しいことをローから聞いたが、どうやら後継者争いが勃発しているらしい。
後継者は実力でもぎ取る種族らしい。
なんとも。

「それに関して他の町にも被害が及んでいてどうにかしてくれとのことだ」

「ぶちのめせばいいのではなくて」

「あいつらは魔法じゃなくて筋肉、力でどうこうするやつらだからな。魔法がないやつらがてんてこまいただと」

「そうなのね。なら、ぶちのめせばイイのね」

「……そうだな。全滅させなきゃ、いいんじゃねーか」

少し歯に詰まった物言い。
ローは絶句しかけていたが、辛くも出てきた台詞は軌跡的に出てきただけ。
コルネリアがこんな風に言うのは今まで圧迫された生活を強いられてきた八つ当たりに過ぎない。
所詮は下等生物らのいさかいなのだ。
問題などおこなさなかったらこんな依頼は飛んで来ないのでという理論。
男と竜族の集落に向かう。
武装していたりするので攻撃されるかもしれないが、反撃くらいわけない。
何度か歩いたなと思っていると集落の門が見え、ローがあそこだと教えてくれる。
ふうん、まだなんというか文明が低めな装いだ。
もう少し栄えていると思っていたが栄えさせる理由もないのであのままなのだろう。

「誰だ!」

門の前には一人居たがこちらが門に近付くと先ずは警戒をしてきた。
それに対して苛ついた。

「は?」

どこからどうみても訪問者だろうに。
威圧感を向ければ竜の目がぶれる。

「っ、な、何者だっ」

「誰に向かって言ってるのかしら」

「……!」

「別に襲いに来たとかじゃない。ギルドから竜族の様子を見に行くように依頼された。お前らの集落や種族がこちらで問題視されてる」

ローは埒が明かないと声をかける。
威圧感に震えていた竜族の者はその内容に遺憾だと吠える。

「我らの問題だ」

竜なのに吠えてどうしたのだ。

「それが問題になったから来たの。分かる?トラブルがあるのなら報告しなきゃ見に来るのは当然よ?貴方はそとで騒ぎがあったら放置して寝るの?」

例えが答えられないのか竜は黙る。
都合の良いトカゲだな。

「ギルドには排除するべきと報告した方が良いかしらね」

「なに、を!」

焦る声に当然じゃないのかと鼻で笑う。

「隠しているように見えるもの。国に隠し事をする意味がまさか分からないわけがないわよね?」

「おれとしてもしっかり報告をしたいからお前だけでもなにが起こっているか説明してくれれば正確なものをギルドには言う」

手っ取り早くローは竜に聞くと、竜は唸る。

「そういえば族長はどうしたの。気配を感じないのだけれど……もしかして」

「そこまで分かるのか!……あいや、隠し事は無理のようだな」

トラブルの原因を語る竜の内容を簡潔にすれば、族長が無くなったので力の強い竜族の者が族長を継ぐ為に争っているのだと。
うん、分かった展開として特に感想はない。
竜族は筋肉で勝負するタイプなのでそうなるのは自然。
でもなぁ、それならば問題は解決しないのだ。
もう復讐をしていた国もなくなり暇をもて余しているので、できたらこれでやれることが出来て退屈を凌げるやも。
ローも顎に手を当ててどうしようかと思案しているらしかった。

「どうするロー」

取り合えずローは受けるのか受けないのか、一旦報告するのか。

「報告は先にしておいて、おれ達は集落を直接見るしかなさそうだな。おい、門番。案内しろ」

「しかし、よそ者を入れるなど」

「族長が居ないのに入れる入れないといってられないでしょ。トラブルが更に広まってしまうと貴方達も肩身の狭い思いをすることになるわ」

竜族の者でも人間に交じり生活をしている人だっている。
その無関係な者達さえも一緒に巻き込んでしまうような事。
門番は指摘されたことを思いだし、ぐぬぬと唸る。
そのまま炎でも吐いてしまいそう。
フフ、と笑うと門番は追い返せないと踏んだのかついてこいと言われる。

一度中身を見て報告しようとローと話す。
面倒だし、一つ一つ一々言わなくて済むのなら見てから報告すれば楽だ。
中を見に行くこととなると二人は門から中へ入る。
何気に初めて入る竜族の集落。
うん、ただのそこら辺にある集落と大差ない見た目。
頑丈でもなくシンプルだ。

「おい、どうした」

門番が連れてくる二人が気になり過ぎてやってくる3名の竜。
集まっても説明することは同じだし手間である。
門番は冷静に話をするが納得いかないのが脳ミソ筋肉のレンジャー達。
余所者に任せられるわけないだろと口論。
口論は夜中の静かなところでも探してやって欲しいな。

「おい人間、おれ達と勝負しやがれ!」

「……いいわ」

言葉で言ってもどうせ聞きやしないのだ、躾るにはこうするしか方法はない。


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