バトルダイアリー | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

可哀想という顔つきを出してわざと煽る。
煽られている相手は顔を真っ赤にして私は王の娘なのよと本性を出す。
わがままなのは知っていたので珍しくもなんともない。
王女の叫びに王がすっとんできた。
どうしたのだと声をかけ、こちらを見てから大変なことになったという顔をする。
貴方の教育はだめだったようだと手を合わせる。
勿論心の中で。
王は平謝りし、王女を叱責。
なぜ怒られるのか理解できないらしい女は眼を白黒する。
こんな程度で怒られるなんてと言い返す娘。
王に逆らう女に王は驚く。

「私は王女ですのよお父様」

「馬鹿者。公私混同はするな。王と呼べ。わたしの賓客をなんと心得る!」

怒られて説教された女は渋々部屋に戻っていろという命令に従う。
それから頭を再び下げる父親。
下げても顔つきは険しいままにする。
問題のある己の娘を同席させたのは親の責任。
このことはギルドに報告させてもらうとローは淡々と述べた。
王はお金なら払うのでやめてくれという。
しかし、この国を下げる為に来たのでそのための行為は惜しまない。
盛り上がってきたわねと眼を笑わせる。
王はこちらに頼み込むがローが許すこともなく、己も不快だったと追撃を行う。
今だ魔法大国と勘違いして、ない権力を持っていると信じこむ彼らは最高にエンターテイメント。
こうも期待通りだとして、少しオリジナル性も欲しいが。
相棒役になってくれているローにもう帰りましょうと告げた。
王は慌てた様子で泊まっていくよう述べるが、呆れた目でみやって「冗談でも嫌だわ」と露骨に口元を歪めた。
ローのところや己のところに色仕掛け要因を仕込むつもりなのが見え見え。
たった今迷惑をかけられたのだし。

もっともっと頭を下げさせたくなる下劣な感情に内心、こういう性格にしたのはこの国だとうっそり笑う。
ならば、教育通り、無慈悲に下衆になってやる。
王が止めるのを内心嫌よと断り二人で去る。
今ごろ大臣らも慌てているに違いない。
とても気分良く、お酒をのみたくなった。
ローに乾杯しましょと誘えば彼は唇を上げているので。向こうも楽しそうで機嫌が良さそう。
こんなに機嫌が良いなんて、彼のお仲間もさぞ驚くことだろう。
こちらを見る目にも熱があるように見えるが、お酒が入っているからだと予測を付ける。
お酒の中身を開けているとローが少し酔ったなと呟く。

彼とお酒を飲み交わすことなど機会がなかったので以外に弱いのかと少し心配になった。
なんだかんだと彼は面倒見が良く、ぶっきらぼうだが、世話を焼く事もある。
とても気の良い男。
そういう培った印象が強い。
かなりしんどそうに感じてお酒を止めて、彼の所属する組織の場所まで転移。
その際、おれの部屋までと注文を受け付ける。
酔うなどという貴重な場面を見た記念だな。
内心、ローのおかげで己を見失わずに済んでいることを自覚している。
彼がいなければもっと血みどろな復讐を考えていた筈だもの。

「ここで良い。そこのベッドまで」

「あら、今日はなんだかスペースに入れてくれるのね」

プライベートに入られたくないタイプと思っていたが。
意外と入れてくれてくれるようだ。
ベッドまで介抱して乗せると座る。
こちらは立ったままだ。
このまま帰ろうしているとグイッと引っ張られて油断していた足が男の方に倒れる。
なんの真似だと視線だけで問いかけるが、ローはにやりと笑うだけで悪びれてもない。

「泊まってけよ」

「自分の部屋で寛ぎたいの」

「おれの部屋は寛げないか?」

突然そう言われてもなと戸惑う。
今まで来たことはないし、なんとも思ったことはない。
先ずは復讐だと怨念を優先していたので目に入ったことすらない。

「寛げるかと聞かれたら寛げるわけないわ。それより、離して」

「嫌だと言ったら?」

ローはそう囁き頬をするりと撫でてくる。
甘い空間に来てしまったと場違いな気持ちになった。
女を異性として見ていたことに驚く。
今になってそれに気づいたことは己が鈍いことに間違いなく、恥ずかしさよりも驚きだ。

「私に肉欲を持てるの?」

「持ってなかったら酔ったと嘘をつくか」

プライドの高いローは女をわざわざこんな風にはめたりしないと思っていただけに、その唯一のような言い方が不思議とすんなり心に落ちてくる。
どうして今日なのかな。
祝杯だからか。

「なァ、ある程度復讐は消化したからこっちに意識を持てるだろ。余裕を持てるようになるまで待ってやった」

「待っていてくれたのね。律儀」

「おれが律儀に見えたのなら僭越だ」

くつりと嗤い、ローはスッと指を後ろにやると唇を合わせた。
まるで、それが自然であったかのような。

「拒まないんだな」

「拒んだ方が良い?」

「それはそれでそそる」

「ふふ。変態なのね」

「好きに言え。ただし逃がさないぞ」

熱い。
燃えるような震えた空気と熱を持つ目に焦がされる。
塵になってしまうだろうその体温が心地よいことに驚く。

「逃げないけど、考えさせてもくれないの?」

「待つ気もない。お前を手に入れられさえすればな」

「まぁ、なんて短気」

「短気なのは嫌いか」

出来れば己を女として扱わないで欲しいと頼みたかったが、あまりにも逃してもらえず微笑んだ。
前の人生は確かに精霊王だが、今世は人間で感情が溢れるばかり。
冷徹に振る舞おうとしても良心が邪魔になる。
彼はそれを見透かしてアプローチしているのだとすれば切れ者という評価は過ぎたるものではない証明。

でも降参するのは早い。
なんだか軽い女に思えて返事に窮する。
告白されて意識するなんて。
流石に現金であり、都合が良すぎる。
変わり身の早さに内心焦るとゆっくり呼吸。
それに待っていてくれるローは優しい。
こちらに合わせてくれているのだ。

かといっても今すぐというわけにも。
そうなるとなにも言えなくなり無言となる。
こちらの心情を感じとり焦らなくても急かさないと言う。
余りにも配慮のある台詞に絶句。
それにしてもそこまで思われていたのに気づかなかったなんて、己は鈍いのやも。
全く気づかなかったわと付け加えると男はくつくつと楽しげに笑みを浮かべ、ポーカーフェイスは得意だと言う。
確かにそうかもしれないが。
言うにしても前々回くらいから匂わすくらいのことをしてほしかったな。

急かさないが、自分は普通にコルネリアを口説くと告げてきて、これでは満足に考えられぬではないかと混乱。
彼はそのさまを楽しんでいるようで、口許が笑っている。
キスは妖精の間でもあるので特に恥ずかしさはないが、相手から女として見られていることに関してはなかったのでどうしたものかと眉を緩ませる。

「私のことは研究対象としか思ってないのよね」

男が初めて自分等の敷地に来た日のことを回想。
やはり、こちらを物としか見てなかった。
断言して見せよう。

「アホ。あれから何年経ったんだ。とっくにそんな理由じゃなくなってる」

「え?」

自身を軽々しくアホと言えるのはローだけだろう。
正体を看破しているのに恐れもない。

「お前はずっとだれかに試みられなくても一人で努力していた」

改めて言われると恥ずかしいな。
ゆるりと腰に手が回る。

「くく、フ。ダメだ。お前のその顔」

不意になんの前触れも無く笑い出す。
笑いが酔うことなのだろうかと疑問に思ったが、これが泥酔いなのか。
それにしても人の顔で笑うなんて雰囲気を壊す。
少し冷静になりかける頭でローは回したままの手を引き、コルネリアは慌てる。
こんなに色かを出されて慌てぬものか。
経験など無くてかわし方が分からない。
否、ローでなかったら腕の一本を吹き飛ばしていただろが、彼が相手ならばそんな気は起こらない。
これが弱味?
分からない、分からないばかりだ。
自分は王だからと冷静で対処もちゃんと出来ると思い込んでいたが、人間としては未熟なのだと実感。

このまま身を任してもいいのだろうか、と引き留める自分も居て、迷う。
選ばせてやるとローは言ったが、選ばせてない。
その矛盾に頬が焼ける。

「醜態を晒してまでお前を欲しがるおれに幻滅でもしたか」

考えている間に向こうも悩んでいたらしい。
その言葉は一言で言えば可愛らしい、としか。
これは本当に自分より年上で大の男なのだろうかと悶えた。
ローに対して悶えるなんてあり得なかったのに。

「幻滅ではなくて、逆よ」

「逆だと?」

今度はローの怪訝な顔にくすくすと笑みを溢す。

「可愛いって思っちゃった」

「……はァ?」

理解出来ないと言いたそうな声音。
確かに男に対してかわいいはステータスとは言えない評価だから。
じわじわと理解し始めた男はスイッと顔をむこうに向ける。
やはり拗ねられたか。
するりと今度はこちらから目元に触れた。
それに驚いたのかぴくりと揺れる体。
誘惑しているのに驚くなんて変ね。
でも、こっちの態度に驚くのも無理ない。
なんせ、全く人の機微に興味がないと相手は察していると思う。
スッと唇を押し付けた。

「な…………っ!」

キスされたことを知った男は息を飲む。

「流石に飲みすぎよ。寝なさい。良い夢を」

「……据え膳前に取り上げるのかよ」

「ええ。取り上げさせてもらう。だって酔ってるんだもの。おやすみ」

ローに眠りの魔法をかければ眠気が襲ってきたと顔を歪めて、やがて目を閉じる。
酔ってきたので魔法の効き目が早い。
もう一度顔を見てから部屋から転移した。


08