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「#エロ」のBL小説を読む
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- ナノ -
02
よし、落ち着け。
窓枠にぶら下がっている状態ではいつまで経っても落ち着くなんて無理だ。
取り敢えず上に戻らなくては。
窓枠に投身したくせにって思われているかもしれないが、いいや、正確には投身したのは今世の己である。
今語っているのは前世の己だ。
ほら、よくあるやつ。
人気のジャンル。
え?レーベルによって異なるだろうって?
細かいことは良いのだ。
自分で自分に突っ込みを入れつつ、整理しながらよじ登る。
ヤバかった。
もうちょっとで骨折しまくるところだった。
この世界で骨折はしたくない。
魔法があることなどは分かっているものの、この体ではまだ治癒さえも満足に行えないだろう。
よじ登るのを頑張り漸く終える。
運動不足を痛感した。

「ああ、もう。全く」

今世の彼女は恐らく勘違いしている。
ローはそういう人間ではないのだ。
仲間に言いふらすのが好きではなく、
でも、傷いつてしまうことも納得なのだ。
あんな会話聞いておいて、二度と夫婦仲は戻らないだろう。
さっき、ローに加勢するような感想を吐いたが、ローを擁護するかと言うと答えはあり得ない、だ。
もし、己でなかったから普通に離婚されても文句を言われないだろう暴言を吐いていた。
己のままならば、崩壊していた。
いいや、崩壊なら既に今起こっている。
人格が一つ死にかけている。
もう復活しそうもないほど。
ローは報いを受けるべきだ。
女避けだ、キリッとかっこよく答えた代償は借金をしても払えないだろうね。
待ってろ、だ、ん、な、さ、ま。
サツジンキもかくやという笑顔でローのいるギルドの方向を向いた。


夜、おっそい時間に帰ってきた男。
最後に見た時はなんでもないように酒を飲んでいたのを知っている。
どうせ仲間と飲んでたんだろ。
いい気な者だ。
一人を意識不明にしておいて。
真実なんて最早どうでも良い。

「ローさん」

「まだ起きていたのか」

夫婦のベッドに入るローを待つように起きていたのをアピールする。
もっと喜べよ。
オラオラ系が入ってしまうけど、仕方なさ過ぎる。
だって、もうほんわか天然奥さんは未来永劫やってこないのだもの。

「ええ。お話があって」

「明日で良いだろ」

素っ気ない。
かつての私は何故優しさを感じ取れたのか分からないので、気にしないようにしよう。
明日明日ってそう言って何度も大切な会話を後回しにするのとかどうなのかね。
称賛に値する。
嫌味ですけど。

「でも、私……ローさんと最近話してなくて寂しいです」

確かこんな感じだったよな。
己の性格を褒め称えているとローが目を丸くしてこちらを見、直ぐに眉間にシワを寄せた。

「それは誘ってるのか」

途端に蒸せ返るくらいの色気を放出。
いだわー、やめてほしいわー。
真面目な話をしようと提案しているのにそっちに空気を持っていくのをやめろ。

「そ、そんなことしませんっ」

鼻から血を出したければ外に居る犬にでも腕を差し出せば良いんじゃないの。
片腕になったらかっくいいねー。
適当にあしらえたらどんなに嬉しいか。

「おれにはそう聞こえたが」

ベッドに迫りながら来ていた服のボタンを外す様はエロス。
どうしてしがない花屋のバイトに目をつけたのか分からない。
殆ど笑っていないのに口角が上がるという芸当を披露させながらとうとうシーツが沈む程近寄られる。
ベッドの上に座って待っていたのが悪かったのか。
どこでも結局こういう風に迫られるんではなかろうか。
無視してローに話しかける。
空気ぶち壊したる。

「話を聞いて欲しいのです」

ギュッと手を握り込む。
決意の表れ。
勿論ローの手は握らない。
そのまま押し倒されそうな雰囲気の中、相手に口実を与えてしまうなんて嫌だ。
彼は仕方ないなと悟ったのか仕切り直して同じように座る。
なんだ、と目で催促された。
クソガキがこっちが大人しくしてるからって調子に乗りやがって――おっと荒ぶった。