07
何か企んでいるとしか思えない。
乗っ取り、それか弄ぶか。
「じゃ、スタジオへ」
先に父を行かせる。
二人きりなった。
「なァ、お前」
きた。
何かしら話しかけてくると思っていた。
「なに?」
タレントになったのだから最低限は交流しなきゃ。
「なにをそんなに威嚇してる?」
「威嚇?私が?」
何を聞くかと思えば。
「貴方こそ私より年上だからと言って知った口聞かないで。それに貴方の上司は父だけじゃなく私もなの」
弁えろ。
リーシャは暗にそう伝える。
「猫みてェ」
むかっときたが顔にキズをつけるわけにもいかない。
早く済ませようと指導する。
ペンギン達と同じくやれば少しは慣れた。
リーシャはローをスカウトしおえると、未来でさえない時代と称した将来の才能の固まり達を探していく。
今がアレならば支援さえすれば光る時期も早まるわけだ。
どうせ未来には大物になるのならこの事務所で羽ばたけば良い。
後は素人目で光るかもしれんという人達を探す。
小学生も板についてきたし。
「ねぇ、聞いて。うちのお兄ちゃんが最近変なの」
クラスメイトのラミが話しかけてきた。
「なに?」
「なんかね、よく歌歌うの」
「ふーん」
最近流行りの歌ってみたか?
帰りに不良達が暴れていたので世の中は乱暴だなと迂回して行こうとしたら1人無双している男が居て気付くと走っていた。
「お兄ちゃああああんん」
――ゴッ
すれ違い様に手に持っていた鍵盤ハーモニカを当てる。
「ぐっ」
すっごく痛そうに弁慶をかばって倒れる。
ふ、つまらぬものを打ち付けてしまうた。
「こ、のガキ」
なにしやがると息絶え絶えにこぼす。
「安心して、峰打ちだから」
どこからか「足やん」と突っ込まれる。
「でもお兄ちゃん。この鍵盤ハーモニカがまぁ大変、これを受けとるのよ、ズバァって頭と入れ替わるよりはましだと思わない?」
「は?」
「思わない?首、なくならなくて良かったね?」
目の瞳孔がぴらりんこ。
「で、こんなところで喧嘩パーティーなんて、なにやってんの?大根みたいにすって帰ったげようか?ん?」
こんなの未来的に今のやってることを掬われてつつかれる隙になる。
「そんなに体力余ってんのなら、いいよ?今日は寝かしてやんないよ?ほら、早く……事務所に行けよ」
この時初めてローはシャチ達の心境を理解した。